第4章
2節―変わらぬ仲間―
何も出来ぬ人間だから
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人間が初めは弱かったからこそ、成し遂げられた…人間の特性。
「知恵だよ。人間は自身の力で飛べないから、知恵の力で飛んでいた」
だから、人間であるソウヤは考えた。
考えた結果、疑似的にでも空で移動する手段を生み出したのである。
ソウヤがインベントリの中から取り出すのは左手用の赤いグローブ。
甲の部分には赤く輝く宝玉が埋め込まれていた。
それを左手に装着すると、ソウヤはミカエルに向けて巨剣を構え大きく跳躍する。
「あれだけ言って、結局は跳躍か…!」
巨剣を持つソウヤが振るう、渾身の一撃。
それを真正面からミカエルは受け止め、多少押されながらもその圧倒的な身体能力で防ぎきって見せた。
「死ね、人間!」
左手に生み出したレイピアを、ミカエルは先ほどと同じように…しかし先ほどよりも凄まじいスピードで振るう。
インベントリから物を取り出し、避ける暇さえソウヤには与えられない。
極光によって作り出されたレイピアはソウヤの身体を切り裂く――
「ッ…!」
――前に、ソウヤはいきなり右方向へ移動しそれを避けた。
「なっ…!?」
―人間は飛行能力を持てないはずじゃ!
ミカエルのその疑問に答えたのは、ソウヤの言葉でもソウヤの姿でもなく…ソウヤが移動した後の煙。
移動した後の空間には黒い煙が漂っており、炎か爆発が起きたのだと推測できる。
そこまで考えたミカエルは、どうやってソウヤが自身の攻撃を避けたのか察し――
「らぁッ!」
「ちィ…!!」
――背中から感じる殺気を両手のレイピアで受け止めた。
「人間、貴様“爆発”で移動したな!」
「よくさっきの一瞬で察することが出来る…なッ!」
流石に不意打ち気味に入ったソウヤの攻撃を受けきることはできなかったのか、ミカエルはそのまま地面まで吹き飛ばされる。
大きくクレーターを作りながら地面に落着したミカエルは、土煙を払いのけながら上空から落ちるソウヤを睨み付けた。
それを真正面から受け、逆に殺気で返すソウヤは地面に着陸すると雪無をミカエルへ向ける。
「ようやく墜ちたな、ミカエル」
「地面に落とさせたこと…後悔させてやるぞ、人間」
今、第二ラウンドが始まろうとしていた。
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