第4章
2節―変わらぬ仲間―
何も出来ぬ人間だから
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頼む」
簡潔にそれだけソウヤは仲間達に伝えると、ミカエルに対し大きく跳躍を行った。
力み跳んだ作用で地面を砕き、大きく形を変えながらソウヤはミカエルに突っ込んでいく。
「ぐっ…!」
そのあまりの速さと巨剣のリーチに、ミカエルは避けることが出来ず愚行と理解しながらも生み出した光のレイピアで受け止めた。
瞬間、その余りのパワーにミカエルは必至に耐えながら顔を驚愕へと変貌させる。
―この力…!ただの一振りが先ほどのシルフの騎士が放った技と同レベルの威力とは、余りにありえない…!!
相手の反則的なパワーに圧倒されながらも、ミカエルは正面から受けきって見せた。
それを見たソウヤは予想外の展開に思わず口を釣り上げる。
「吹き飛ばすと思っていたんだけどな」
「…熾天使が1人を見くびるな、人間ッ!」
ミカエルは両手持ちにしていたレイピアを片手で持ち、もう片方の手にレイピアを今一度生み出すと、ソウヤを斬りつけようと一閃。
自由に上空で動く術を持たないソウヤは、苦し紛れにインベントリから物を取り出し添えを踏み台にすることで攻撃から逃れた。
「確かに鎖から解き放たれた分、貴様のステータスは異常だ、反則的とも言える。だが、空を飛べなければまだ対処の仕様があるな」
「やっぱそうだよな…」
冷静にソウヤの弱点を見破り考察するミカエルに、ソウヤは小さく舌打ちをする。
本来ならば先ほどの一撃でミカエルを地面にたたき落とす予定だったのだ。
しかし、ミカエルは想像以上に耐えその機会を失ってしまった。
―明らかにウリエルよりもミカエルの方が身体能力の高さが上…。
ウリエルの場合は低い身体能力を補って余りある能力を持っていたのだから、当然と言えば当然だ。
そんな理由で叩き落とすことに失敗した結果、これからは圧倒的にソウヤの方が不利な戦いが始まる…という訳でもない。
流石にそこまで考え足らずだったら、ソウヤは今この時まで生き残っていないだろう。
「…ミカエル、確かに人間は空を飛行できない。けどな、俺らの世界では確かに人間は空を飛んでいた。どんな力を使ってだと思う?」
「人間が空を飛ぶ?羽も翼も持たぬ人種に何故空を飛べようか」
空も飛べぬから、楔も繋がれていなかったのだろう…とミカエルはソウヤを見て嘲笑った。
確かに、人間は空を飛ぶ能力は無い。
確かに、人間は他の人種達より劣る。
それでも確かに、人間は空をその手に掴んでいた。
無理だと、出来ないのだと言われ続けていたことを成し遂げていた。
それは人間が鳥のように空を飛べなかったから。
それは人間が魚のように海を泳げなかったから。
それは人間が他の生物より劣る所があったから。
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