第4章
2節―変わらぬ仲間―
侍が望むは――
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、ハードな一日が始まる。
それを告げるかのように、ニワトリ―に似た何か―が元気よく嘶いた。
ソウヤが倒れ深春達だけが普通の地上へと来て、深春が何よりも先に望まれたのは『試練』へと挑戦し『申し子』となること。
上級天使に匹敵する力を備え、襲撃する天使を打ち倒し来たるべき決戦の力添えとなることである。
すでにウィレスクラの力によって『申し子』になっていた深春だが、それはまだ不完全なものであった。
世界神と言えど、強制的に完璧な『申し子』を深春に付与することは難しかったようである。
故に、深春は言われるがまま『試練』へと赴き、現在…未だそれを乗り越えられずにいた。
かなりの時間が経っているのにも関わらず、『試練』は深春を拒絶し続けている。
そして、深春は今日も『試練』の門を叩かんと扉の前に来ていた。
「――ではミハル様、『試練』のご達成…お祈りしております」
「行って…来るでござるよ」
深春は震える身体をどうにかして抑えきると扉を開き、『試練』へと挑戦する。
『申し子』となる為の『試練』は大きく3つに分かれていた。
その『試練』の内容は人によって変わるが、ただ一つのみ変わらないルールがある。
“肉体”、“精神”、“心”をそれぞれ試すのだ。
元々尋常ではないほどの力をつけていた深春は“肉体”の『試練』はいとも簡単に攻略している。
だが、“精神”からの『試練』は何日経ってもクリアする気配を見せていない。
深春が足を踏み入れると“肉体”の試練の間が視界に映るが、とっくにクリアしているので気にした様子も無く次の間へと足を進める。
「はぁっ…ふうぅ」
大きく深呼吸をしてなんとかざわつく心臓を押しとどめると、深春は意を決して“精神”の試練の間へと足を踏み入れた。
「辛くても、悲しくても、怒っていても、笑いなさい。こんなものかって」
「――――」
目の前に、懐かしい若々しかった頃の母が映り、口を開く。
母の表情は明るくて、頼もしくて、勇気が出る…そんな心からの笑顔だった。
それを聞いて、見て、深春は小さく息を飲み込む。
心からの笑顔で励ます、そんな母の姿を知っているからこそ…深春には突き刺さる物があった。
視界に、ノイズが走る。
「貴女が居なければ」
「――――ッ」
視界のノイズが消えた時、目の前に現れたのは“ナニカ”で汚されボロボロの姿で倒れこんでいる母の姿だった。
彼女が、深春へと手を伸ばす。
その瞳には“憎悪”しか残っていなかった。
深春は叫びたくなった。
目を手で覆い、「こんなのは母じゃない」と拒絶したくなった。
…居なくなれと、思いたくなった。
けれど、同時に
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