第4章
2節―変わらぬ仲間―
救世主を誓う戦友たち
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のだ。
ここで死んだら、俺が後悔するだろう!
「无刃…!!」
ソウヤは右手に雪無を、左手にストレージに眠っていたもう一つの剣を取り出すと、迫りくる刃に向けて振るった。
極光の刃はソウヤの持つ剣が触れるたび、一瞬でかき消される。
无刃。
かつてソウヤの友であり、今は亡き彼の技だ。
触れた物にある“魔力”を全て吹き飛ばし“无とする刃”である。
「これで終わりだぁぁ!」
だが、この技が対処されると察していた主天使は右手と左手に極光の塊を創り出すと大きく溜め始めた。
それを視界に入れながらも、対処する時間をこの刃達は与えてくれない。
圧倒的不利な状況に追い込まれながら、それでもソウヤは笑っていた。
「――ッ!“極光る神々の波動”!!」
迫りくる光の波。
それを視界に入れたソウヤは、ただただ呟いた。
「行け、エレン――」
「――“偽・全て飲み込む雷神の一撃”!!」
太陽並みの光を放つ波動と、偽りけれど雷神の力を纏う一撃がぶつかり合う。
「お前は…『雷神の申し子』あぁぁ!」
「行くぞ『主天使』!!」
『雷神の申し子』と言われた彼女は、元となった雷神トールと似ても似つかないほどしっかり者だ。
しかし、似ているものもある。
それは雷を扱うこと…という訳では無い。
トールは人々や、自身より弱い神を護るため巨人相手に身を挺して戦ったという。
また、トールが扱っていた“ミョルニル”は戦うだけでなく“物や人を清める”為にも使われていた。
似ている部分、それは“人を護る時、人の幸せを願うとき、最高の力を得る”という部分なのである。
性格が荒々しいトールと、硬いエレン。
互いに表面上は正反対だがその根底にあるのは何も変わらない。
だからこそ――
「私は、この世界を…救うんだッ!!」
――彼女は『雷神の申し子』と呼ばれた。
極光と雷の一撃、打ち勝ったのは人々の救いを求め続けたエレン。
振り下ろされた巨大な雷の刃に主天使は、塵も残さず一瞬にして掻き消えた。
ソウヤの周りに漂い攻撃していた数百の刃は、魔力を維持する者が居なくなった為に音もなく消え去る。
それを確認し、ソウヤは飛翔し続けているエレンに視線を向けて優しく微笑んだ。
「あぁ…、疲れた」
“无術”はMPの消費なく使えるが、その分かなり体力を持っていかれる。
本来の実力をルビによって“封印”されているソウヤにとって、“无術”を使うだけで疲れてしまうのだ。
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