第4章
2節―変わらぬ仲間―
雷は轟き光は奔り――
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先ほどのリシュヴァとは格の違う力を放っていた。
「いやぁ、“駒”は駒らしくただ働いていればいいのに。やっぱり恐喝なんてするべきじゃなかったね」
「残念残念」と独り言を延々と言い続ける男に、エレンは寒気が湧く。
目の前の男は、この世の者とは思えないほどに美しく綺麗だ。
だが、それを軽く覆してなお余りある“気持ち悪さ”がその男から放たれている。
―こいつは、危険だ。
すぐにエレンは相手の強さを計り知って冷や汗を掻くが、それでも逃げまいと剣先を男に向けた。
ここで逃げればきっと今まで救ってきた民たちが、一瞬にして滅びるのは明確だから。
「ん、なに?僕に逆らうの?」
その行動に驚いたのか、男は目をぱちくりとさせる。
剣先を向けて敵意を丸出しにしているのにこの対応ということは、つまり“エレンを敵とさえ判断していない”ということなのだろう。
「民を護る、それが私の役目だ」
再び“民を護る騎士”と成ったエレンは、警戒心を引き上げながら男を注視する。
目の前の男は強い、けれど守らなければならないものがある限り、エレンはこの先へと一歩も進ませることはないだろう。
「ふぅん…。たかがちょっと限界を超えた“妖精如き”が僕に逆らうなんてねぇ」
その直後、エレンに凄まじい重圧がのしかかる。
今までとは圧倒的に違う力の格差。
これが、上級に位置する天使の強さなのだ。
―どこまで、守り切れるか…!
その重圧に耐えながらも剣を向け続けるエレン。
あまりに力の差があるその戦いが今、始まり――
「お、初めて主天使見たな」
――その直前、力の抜けるような緊張感のない声が響いた。
まさか一般人が、と思いかけたエレンはその姿を見て大きく安堵する。
「よう、エレン。久しぶりだな」
「毎回思うが、どうしてお前はそこまでタイミング良いんだ?」
変わらない声を聞いて、変わらない誇りを持つ瞳を見て、降り立つ男は笑う。
そして肩に剣を乗せて、次はニヤリと嗤った。
「そんなの――」
「お前、まさか…!」
主天使である男は、目の前の黒い髪と瞳を持つ男を見て睨み付ける。
普通の人ならばそれだけで死を免れないであろう“ソレ”を、彼は軽く流す。
「――俺が『均等破壊』だからに決まってんだろ」
そう言って、ソウヤは絶妙なタイミングで来たことをそう言い切って見せたのだった。
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