第4章
2節―変わらぬ仲間―
雷は轟き光は奔り――
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この世界で最も希少価値が高く、魔力を最も通しやすく頑強な刃が迫りエレンはその顔を驚愕へと変え――
「“風の加護”」
――小さく、呟いた。
瞬間、風がエレンを中心に巻き起こり土の拘束さえも抜け出す。
空を飛ぶエレンは、奇しくも天使たちが持つ剣と同じ銘を持つ剣を大きく上に構える。
「…最期にしよう、リシュヴァ」
「あぁ、これで決めよう」
再びリシュヴァも大きく剣を上段に構えた。
両者の持つ剣に魔力が溜まっていく。
あまりに強い力の流れに、本来動くはずのない空気さえも剣の元へ集まって固まって放たれる。
台風…いや、竜巻の近くにいるように風が吹き荒れ地面さえも吹き飛ばしていく。
――そして最後の一撃が放たれた。
「“偽・全て飲み込む雷神の一撃”!!」
「“天呑む神々の刃”!!」
轟音が鳴り、光が全てを飲み込んだ。
凄まじい光量と力と雷が叫び合い共鳴し、更に大きく膨れ上がっていく。
それは正に、“核爆発”と同じように外からは見えただろう。
凄まじい力の爆発が収まった時、立っていたのはエレンだった。
周りは力の逆流と共鳴に耐えられず、ガラスと化している。
その中心で、エレンはリシュヴァに剣を向けていた。
「私の、勝ちだ」
「…あぁ私の、負け……だ」
力無く笑うリシュヴァは震える右手で、エレンの手を握る。
「1つ、貴殿を見込ん…で、頼みたいことが……ある」
「…なんだ」
リシュヴァは心の奥底にある、何かと戦っているように歯を食いしばると、必死な形相でエレンを見た。
その瞳は恐怖に彩られ、その原因は自身でないことをエレンはすぐに察する。
しゃがみ込みリシュヴァを見るエレンに、彼女は口を開け――
「駄目じゃないか、敵に情報を与えようとするなんて」
――声を出すことなく、瞳からは涙が一筋流れた。
ぽとり。
エレンは震える手で力強く握り続ける右手を、そっと優しく離すと怒りに震える。
目の前には、リシュヴァで“あった”物があった。
「あれ、もしかして怒ってるの?僕たちと敵のはずなのに」
これだから人っていうのは良く分からないよ…と溜め息をこぼす天使の羽を生やした男性は、首を振る。
「貴様…!仮にも仲間だろう!」
「ん?違うよ」
エレンの叫びに、男は心外と言わんばかりに肩をすくめた。
「彼女はただの“駒”さ。僕たち…“主天使”にしてみれば、ね」
そういう男の腕には6つの金の腕輪が存在を強調している。
嫌らしく嗤う男は、確かに
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