第4章
2節―変わらぬ仲間―
英雄と狂鬼の剣戟
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
があった。
そのどちらも正しく、尊ぶべき考え。
けれどレーヌは、今回はナミルの方を応援したかった。
「ソウヤ、お前はいつまで“お前が勝つ前提で”話を進めるんだ!?あぁッ!?」
「――――ッ!?」
頑固で自身の言葉を変えようとしなかったソウヤは、そこでやっと…本当にやっと理解する。
――ただ、自分が彼女らより上なのだと…調子に乗っていたのだと。
「偽・全て浄化する火神の魔装――!!」
「なッ…!?」
一瞬。
ソウヤは気付けば自身が死ぬ寸前まで来ていると気付き、雪無を巨剣化し降り注ぐ炎の嵐を防ごうと身構え――
「…お前の勝ちだよ、ナミル。お前の思いを汲み取らなかった、俺が悪かった」
――巨剣化した雪無が地面に突き刺さり、ソウヤの敗北が決定した。
炎の魔装を着込むナミルはその言葉に満足気に笑うと、炎を消散させソウヤの首元へ置いた大剣を鞘に戻す。
先ほどの技は何なのか…と聞きたい気持ちはあったが、それを今は流すとソウヤはナミルに頭を下げた。
「すまない。俺はいつの間にか、仲間を見下してたんだな」
「…気付けばそれでいいさ、許してやるよ」
「だから」とナミルは言葉を続けると、ソウヤの頭を掴み強引に顔を上げる。
顔を上げさせられた先には、ナミルの男勝りな笑みが出迎えていた。
「頭下げなくていい。俺たちとお前は仲間だ…そうだろ?」
前を向け。
そう言われたソウヤは、本当に良い仲間を持ったと思って笑みが浮かぶ。
「あぁ、助かったよナミル…。俺は強いけれど――」
どこか憑き物が取れたかのようにソウヤは無邪気に笑い、握り拳をナミルに向けた。
その意図に気付くとナミルも無邪気に笑って拳を前に突き出す。
「――俺の仲間の方が、もっともっと強かったんだな」
「そうよ。いつまでも私たちは貴方の足かせではないのよ」
ぶつけ合ったソウヤとナミルの拳に、さらに拳が足される。
不敵に笑うレーヌは、ソウヤの方を見た。
「確かに、貴方の力は“貰い物”かもしれないわ」
「――――」
それを聞いて、ソウヤは頷く。
だが、レーヌは「でも」と続けた。
「それをここまで成長させたのは貴方だし、その力を使って私たちを…世界を救おうとしてくれてるのは貴方よ、ソウヤ」
「…ぁ」
その言葉に、どれだけソウヤは救われただろうか。
今まで“借り物”だと思っていた力が、初めて他人にそれは“自分の力”なのだと否定してくれたのだ。
嬉しくないはずがない。
「その通りだぜソウヤ。お前がその力を“借り物”と言うなら、俺もこの力を“借り物”と呼ばなきゃいけなくなるんだ」
それ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ