暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
第4章
2節―変わらぬ仲間―
幻の海に映るのは――
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な唇が触れるのも一瞬。
 すぐに離れたレーヌは、赤くなった頬を見せないよう後ろを向く。

 流れるような一連の行動を受けたソウヤは、キスされた頬を撫でつつ頭に手を当てた。

「お、お前なんつう…」
「待たせた罰よ、心して受け取りなさい」

 そう言って、ソウヤの方へ向きながらレーヌは朱色に染まった頬でニッコリ笑う。
 美しくも可愛らしいその表情に、ソウヤは微妙な笑顔を作った。

 ―敵わないな、レーヌには。

 ソウヤは大きく深呼吸をしてざわつく胸を押しとどめ、一瞬にして真面目な表情になる。
 集中を高めていき、雪無を握る力を込めていった。

「…レーヌ、頼む」
「――。はいはい、やっちゃって頂戴」

 そのソウヤが放つ殺意の強さに一瞬呆けたレーヌは、それでもすぐに意識を取り戻し、目の前の天使の幻を解いた。
 すでに半狂乱になっている天使は、目の前にいるのが誰かすら分からずただ突進していく。

 きっと、彼女の前では誰もが敵わない。
 あるときは幻として、またあるときは現実として彼女は在る。

 彼女と共に在るとき、それは嘘か、真実かすら分からない。
 だからこそ人々は彼女をこう呼んだ。

 ――『幻実魔導使(シュレオ・リローレン)』レーヌ、と。

 だが、幻か現実かわからなくなる彼女も、また“人”だ。
 他人と同じように笑い、悲しみ、恋をする。
 きっと、今の彼女を見れば誰もが自身の目を疑うだろう。

 目の前の青年を見るその眼は、確かに“恋する乙女”そのものだったのだから。
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