暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
第4章
1節―変わった世界―
”申し子”と封印する者
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知らないのですね、“勇者伝説”を」
「“勇者伝説”?」

 聞きなれぬ言葉が重なり、ソウヤは更に頭を悩ませてしまう。
 それを見たエミアは言い聞かせるように言葉を並べ始めた。

 わたしたちにでた、くろいかいぶつ。
 とてもこわい、かいぶつ。
 こわさにふるえていたひとびとは、かみにいのりました。

 「どうか、たすけてください」と。

 そのいのりはかみにつうじ、ひとりのせいねんがあらわれました。
 『ゆうしゃ』です。

 かがやくつるぎをかかげ、かれはかいぶつにたちむかいました。

 しかし
 かいぶつはつよく、ゆうしゃも、くせんしてしまいます。

「ゆうしゃさま、どうかわたしたちのちからを、おつかいください」

 そこであらわれたのは、
 かみの『しれん』にうちかった“もうしご”たちでした。

 かのじょたちと、ゆうしゃはちからをあわせ、
 くろいかいぶつをふういんしました。

 こうして、せかいにへいおんがおとずれたのです。

「めでたしめでたし」
「――――」

 “勇者伝説”。
 それは童話なのはかわりないだろう。

 ――ただ、それが事実な点を除いて。

「つまり、黒い怪物は魔王ってことか?」
「はい、そうなるのです」

 そして、それに対抗するのは『勇者』と『申し子』達。
 激闘の果て、彼らは魔王を封印することに成功した。

 ならば、この『試練』に打ち勝った『申し子』というのはつまり――

「――エミアたちのこと、か」
「はい。先ほどの話通り、魔王を封印するため『試練』に選ばれた彼女たちはそれに打ち勝ち、“神の偽力”を手にしたのです」

 “神の偽力”。
 その名の通り、疑似的な神の力…と思えばいいのだろう。
 『試練』とはそれを授かるための行動、と考えるのが妥当だ。

「つまり、話の流れからすると」

 ソウヤはそこまで言いかけるとエミアに視線を向ける。
 彼女はそれに気付くと、小さく頷いた。

「私を含め、エレンさん達は『試練』を受けた上で打ち勝ち、『申し子』となったのです」

 それを聞いたソウヤは、ギルティアの言葉を思い出す。

 ―エレンやルリ達は必ず封印する者となるじゃろう―

 ―こういう、意味だったのか。

 『試練』に打ち勝つ。
 それはきっと、生半可なことでは成し遂げられないことだ。
 だが、それに打ち勝ったエレン達には天使と並べられる力を…“神の偽力”を備えている。

 そんな存在ほど、封印する者に適した人物はいない。

「クソッ…!」

 ギルティアの言っていた言葉の意味、それを理解できたソウヤは苛立ちを抑えられなかった。
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