第4章
1節―変わった世界―
”申し子”と封印する者
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光輝なる流星』エミア。
異邦人ではなく、この世界の住民でありながら“鎖”を優に超す力を持っていた彼女らは、天使を撃退していく。
それが、今の現状の全てだった。
「――と、なるのです。ご質問はありますか?」
「あぁ、結構な」
ソウヤはそう言って笑うと、エミアはどうぞと言わんばかりにニッコリ笑う。
この様子からエミアは説明が少し苦手なのだろう、とソウヤは察した。
自分から話すより、質問を答えていくほうが説明ベタには非常にありがたいものである。
「まず、今は天使が出現してからどれくらい経っている?」
「3ヶ月になるのです」
3ヶ月。
存外長くもあり、短くもある。
だが、天使が無抵抗の人々をもし虐殺していくだけなら2ヶ月も保たないはずだ。
「エレンやエミアが天使に対抗しだしたのは?」
「えっと…2ヶ月、半前だと思うのです」
細かく期間を言う理由はなんだろうか、とソウヤは思う。
だが、それは聞くよりも早くエミアが答えてくれた。
「天使が来てからの最初の半月は『勇者』様も抗えず、当然“まだ”その時力を得ていなかった私はどちらかというと逃げる法を選んでいたのです」
何もしなかった、そういうのは軽薄だろう。
逆に一人でも多く生き残らせようと足掻く姿が、ソウヤの目に聡明に映った。
「ですが、逃げるのにも限度があり追い込まれようとしていた時、ギルティア様が表れたのです」
「ギルティアが…?」
神聖森の守護者として動くギルティアに、そんなことが出来るのだろうかとソウヤは頭を捻る。
「ギルティア様は迫る天使を一掃した後、私を見てこう言いました」
抗うのなら、『試練』を行え。
なにに抗うというのか。
どうやって現れたのか。
『試練』とは何なのか。
それは、ギルティアが言うまでもなくエミアは理解した。
「そうして、私は『試練』を受け“森神の偽力”を手にして、今までこの首都を守り抜いてきたのです」
エレンさんやレーヌさんも同じように『試練』を受け今、天使と対抗しているのです。
そう締めくくったエミアは、テーブルに置いてある紅茶を一口優雅に飲み込む。
言い切った風な雰囲気を出されても正直ソウヤにはわからないことだらけだ。
『試練』。
“森神の偽力”。
まずこの単語が何かわからない。
「エミア、『試練』って何だ?何に対して、何を行うために、どんな方法で、どんな力を得たのかはっきり言ってくれ」
「――――?」
エミアはしばらくソウヤの質問の意味を理解できないように首を傾げ、しばらくしてから何かに思い至ったように手を叩く。
「異世界人であるソウヤさんは
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