第4章
1節―変わった世界―
エルフの王女との再会
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「そんな…馬鹿、な……」
高い金属音がして、“2つの黄金の腕輪”をした天使が地面に倒れる。
その表情は、悔しみと絶望と…これ以上ない“生への渇望”が表れていた。
無表情のまま、ソウヤはその天使を見ると雪無を振り上げる。
「お前は、生きたいのか」
「あ…ぁあ…」
天使は自分より下等生物である“ただの人間”に、倒されようとしていた。
常に笑みを浮かべていた天使の目から、一筋の涙が流れる。
「なら――」
ソウヤは何のためらいもなく、その天使の首を切り落とした。
凄まじい顔でその命を終えた天使をソウヤは睨み付ける。
「――やることが違うだろ」
雪無についた血を、ソウヤは凄まじい速度で刃を振るうことで取ると鞘に仕舞った。
後ろを振り向けば大勢の住人がその様子を不安げに見ている。
ソウヤは、せめて安心させたいという気持ちで優しげに笑うと――
「…ッ!」
――住人の悲鳴が聞こえた。
それを聞いてソウヤは笑みを崩さぬまま、思う。
―当然だよな、例え町を救ったとはいえ化け物を制するのは化け物なんだから。
「迷惑をかけたな、ここはもう大丈夫なはずだ。安心してくれ」
ソウヤは未だ恐怖に震えている住民にそういうと、空を見上げる。
そして――
「…は?」
――その姿は一瞬にして掻き消えていた。
遥か上空へと一瞬で跳躍したソウヤは、“殆ど被害のない町”を見下げて安堵したかのようにため息をつく。
―約束、また一つ護ったからな。
数日前地上へと戻ってきたソウヤが最初に向かった町、壊滅状態にあったそこにいた男性をソウヤは思い出す。
懐かしい雰囲気を持った男性だった。
「これで、この大陸の町村はほとんど救ったはずだ」
防衛力の乏しい町村を優先させるのは、ソウヤとしては当然のことである。
故に、この大陸でソウヤが向かっていないのはただ一つ。
――エルフの大陸、その首都である大樹だ。
ソウヤは軽く周りを見渡すと、その巨大な樹はすぐ目に留まる。
アイテムストレージから足場になりそうなものを放ると、それに刹那の間だけ足をつけ一気にソウヤは加速した。
視界が限界まで引き延ばされ、次第に色だけになる。
「…よし、ついた」
そして、気付けばソウヤは大樹の麓へ居た。
「…貴様、誰だ!?」
いきなり現れたであろうソウヤに警戒し、大樹の麓を警備していた兵士が続々と集まってくる。
果敢にもソウヤの周りを囲んだ兵士たち。
しかし、その表情は絶望に染められていた。
「待て、俺は敵じゃない。ソウヤ、『均等破壊』のソウヤだ」
「――ッ!?」
『
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