暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
第4章
1節―変わった世界―
エルフの王女との再会
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「そんな…馬鹿、な……」

 高い金属音がして、“2つの黄金の腕輪”をした天使が地面に倒れる。
 その表情は、悔しみと絶望と…これ以上ない“生への渇望”が表れていた。

 無表情のまま、ソウヤはその天使を見ると雪無を振り上げる。

「お前は、生きたいのか」
「あ…ぁあ…」

 天使は自分より下等生物である“ただの人間”に、倒されようとしていた。
 常に笑みを浮かべていた天使の目から、一筋の涙が流れる。

「なら――」

 ソウヤは何のためらいもなく、その天使の首を切り落とした。
 凄まじい顔でその命を終えた天使をソウヤは睨み付ける。

「――やることが違うだろ」

 雪無についた血を、ソウヤは凄まじい速度で刃を振るうことで取ると鞘に仕舞った。
 後ろを振り向けば大勢の住人がその様子を不安げに見ている。
 ソウヤは、せめて安心させたいという気持ちで優しげに笑うと――

「…ッ!」

 ――住人の悲鳴が聞こえた。

 それを聞いてソウヤは笑みを崩さぬまま、思う。

 ―当然だよな、例え町を救ったとはいえ化け物を制するのは化け物なんだから。

「迷惑をかけたな、ここはもう大丈夫なはずだ。安心してくれ」

 ソウヤは未だ恐怖に震えている住民にそういうと、空を見上げる。
 そして――

「…は?」

 ――その姿は一瞬にして掻き消えていた。

 遥か上空へと一瞬で跳躍したソウヤは、“殆ど被害のない町”を見下げて安堵したかのようにため息をつく。

 ―約束、また一つ護ったからな。

 数日前地上へと戻ってきたソウヤが最初に向かった町、壊滅状態にあったそこにいた男性をソウヤは思い出す。
 懐かしい雰囲気を持った男性だった。

「これで、この大陸の町村はほとんど救ったはずだ」

 防衛力の乏しい町村を優先させるのは、ソウヤとしては当然のことである。
 故に、この大陸でソウヤが向かっていないのはただ一つ。

 ――エルフの大陸、その首都である大樹だ。

 ソウヤは軽く周りを見渡すと、その巨大な樹はすぐ目に留まる。
 アイテムストレージから足場になりそうなものを放ると、それに刹那の間だけ足をつけ一気にソウヤは加速した。
 視界が限界まで引き延ばされ、次第に色だけになる。

「…よし、ついた」

 そして、気付けばソウヤは大樹の麓へ居た。

「…貴様、誰だ!?」

 いきなり現れたであろうソウヤに警戒し、大樹の麓を警備していた兵士が続々と集まってくる。
 果敢にもソウヤの周りを囲んだ兵士たち。
しかし、その表情は絶望に染められていた。

「待て、俺は敵じゃない。ソウヤ、『均等破壊(バランスブレイカー)』のソウヤだ」
「――ッ!?」


[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ