第4章
1節―変わった世界―
遅すぎた代償
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ろ」
「何千人も…死んだ。罪の重みが違う…!」
「だからって、お前みたいな子供が全部背負う決まりはないだろう」
その言葉に、ソウヤは何かがキレる音がしたのを感じる。
「俺は…俺は……!」
気づけば、男性に掴みかかっていた。
圧倒的な握力と筋力によって持ち上げられているのに、男性は顔色を変えずソウヤの瞳を見る。
「俺は強いんです!誰もよりも…!上級魔族や将軍魔族をたった1人で倒しましたし、熾天使だって仲間と協力して倒しましたッ…!」
「でも、お前は子供だ」
「――――――ッ!」
思わず素の言葉になったソウヤに、男性は気にせず言葉を吐く。
あまりに痛烈なその現実に、ソウヤは思わず男性を睨みつけた。
ソウヤから発せられるその殺気を受けながら男性は真剣な表情で言い放つ。
「子供が責任だの何だの、調子乗ってんじゃねぇよ」
あまりに冷徹な声に、ソウヤは思わず力を緩める。
地面に降り立った男性は絶句したソウヤを見つめると、目を細めた。
「確かにお前は間に合わなかった、人殺しと言われて当然だ」
「だから…!」
「でもな、全部の責任がお前にあるわけじゃない」
そうだろ?と男性が後ろにいる街の人々に聞くと、彼らは何かを言い当てられたかのように言葉を濁らせる。
「アンタにも責任はある。だが、元々の根源は兄ちゃんじゃない、アイツらの親玉だ」
気力を無くしたようなソウヤの顔を見て、男性は笑う。
「…頼むよ。何よりも早く、その親玉を倒してくれ」
「っ…!」
「それが、俺の願いだ」
ソウヤは流れる涙を袖で拭うと、アイテムストレージを操作する。
次々と現れる肉や野菜、木材などに周りの人々が度胆を抜かれたようだった。
「――これで、当分は生きていけるはずだ。俺には、これくらいしかできない」
「十分だよ兄ちゃん」
「アンタらも、それでいいだろ?」と男性が笑顔で街の人々に振り向くと、彼らは嫌々ながらも首を縦に振る。
彼らも嫌なのだ、自分と同じ境遇に立たされるのが。
「行ってくれ、兄ちゃん。ここは俺たちで何とかする」
「あぁ…。早くアイツをぶっ飛ばしてくるよ」
優しげに笑う男性は、ソウヤに近寄ると軽く背中をたたく。
「行って来い。そして――」
男性の言葉に続けるようにソウヤは叫ぶ。
「――もう誰も、傷つけさせない…!」
一瞬でソウヤの身体は掻き消えた。
もう、男性の傍には誰もいなかったのである。
「…あぁ、行って来い。死の恐怖に怯えていた俺を救ってくれた妻と、俺の希望であった娘を奪っていったアイツをぶっ殺しに」
彼はそうつぶやくと、不安げに揺れる人々の元へ歩き出す。
ふと、風が吹
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