暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
第4章
1節―変わった世界―
帰還
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
にある空間魔法を放ちある程度減速する。
 到着すると同時に巻き起こる凄まじい土煙が上がる中で、ソウヤは周りを見渡した。

「――ん?誰か来たようだね」

 不意に聞こえる声。
 それを意識した瞬間、ソウヤは雪無を背中を向きながら振るう。
 まるで楽器を奏でるような、甲高い音が響いた。

「…お前、誰だ」
「君こそ僕の剣撃を受け止めるなんて、何者だい?」

 土煙が晴れた中、見えたのは太陽のように輝く純白の翼を持つ男性。
 見るものを惹くそのあまりに美しい美貌をした男性は目を細めた。
 チリンッと、黄金に輝く1つの腕輪が鳴る。

「俺が聞いているはずだ、お前は誰だ」

 ソウヤは静かに告げると、力を込め雪無を振るう。
 男性は顔を驚愕に染めると吹き飛ばされた。

「ぐっ…!」

 優男風の男性は、空中で体勢を整えると地面を削りながら止まる。
 そして、怒りに震えたようにその美貌を醜く汚すとソウヤを睨みつけ…再び驚愕に染めた。

「黒髪に黒目で、羽無しの人間…!お前が…ソウヤ!」
「なんだ、俺のことは知ってるのか」

 ソウヤは目を細めると、雪無の刃先を男性に向ける。

「もう一度聞く、お前は誰だ」
「僕、かい…?僕は――」

 優男風の男性は嫌らしげに笑うと、純白の翼をはためかせる。
 そして、空中へと飛び立つと同時に叫ぶ。

「――君を殺す…”天使”さ!」

 常識をあまりに無視した速度。
 それはもう音速は軽く超え、光速に至っていた。

 だが――

「…はっ?」

 ――足りない。

 天使と名乗る男性は、視界が地面に向いていることに気付く。
 意識が、はっきりとしない。
 体が動かない。

「熱…い……?」

 何故、身体が熱いのか。
 何故、身体が重いのか。
 何故、意識が遠いのか。
 何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故――

「予想以上に、弱かったな」

 ――何故、死んでいるのか。

 最後に、憎きソウヤの声が聞こえ天使は意識を暗転させた。

 ソウヤは心臓のある胸から血を出している、天使と名乗った男性を地面に放り投げるとため息をつく。

「間違って殺しちまったな」

 これでは情報を聞くことが出来ない…とソウヤは反省する。
 雪無に付いた血を振るって飛ばすと鞘に刺す。
 周りを見渡すが、人が全く見えないのでいないのだろうか…と考えたところで、ソウヤの耳はとらえた。

 瓦礫が動く音に。

 ソウヤは急いでそこに向かうと、瓦礫を弾き飛ばす。
 その下には頭から血を出した青年が、赤く染まった目でソウヤを見ていた。
 青年を瓦礫から引き出すと地面に優しく下ろす。

「ここの住民
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ