第4章
1節―変わった世界―
本能と理性
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締め付けられるように腹が痛い。
息が上手く出来なくて肺が気持ち悪い。
身体中が酸素を欲しているのに、少しでも吸うと身体中から拒絶反応が起こる。
「わかったか。これがお前の、心の傷だ」
「ここ、ろ…の……傷?」
生物を殺すことに、最初から拒否感を抱いていなかった訳ではない。
最初、生物を殺して生きるために解剖したときなんて、何回吐いただろうか。
今でこそその気持ち悪さは無くなっていたが、それは違ったのだ。
”不快感を、気づかないようにしていただけ”だったのである。
「見てるのも辛い。だが、これはお前の荒治療だ。続けるぞ」
「なに、を…?」
それ以上痛みでどうすることも出来ない俺は、呻く。
”俺”は見たくないという風に目を一瞬瞑り、すぐに目を見開くと俺の治療を始めた。
「お前、”巨剣使い”なんてチートスキルを手に入れて、良かったのか?最初は良かったかもしれない、だが、いつからかその”責任感”を感じていたはずだ」
”俺”の言葉に俺は、声も出ないほどの痛みを味わう。
これは、俺が今までひた隠しにしていた痛み。
本来ならば、もっと早く味わうはずだった痛みなのだ。
「”自分がやらなければ誰がやる”。”あの期待に応えたい”――」
”俺”の治療は、止まらない。
「――”あの目で、見られたくない”」
あぁ、そうだ。
俺は”あの目”で見てほしくなくて、ずっと努力してきたのである。
期待しなくなり、それを成し遂げられなかったことを責める、あの目…。
「同時に、虚しさも抱えていたはずだ。エレンやルビ達は、自分たちが努力して手に入れた力で戦っている。なのに、俺は”与えられた力”で戦っていることへのな」
痛みと同時に、心のなかに空洞ができたような感覚に襲われる。
確かに、”魔力”が存在しない世界から来た俺達は素のままでは無力だ。
だからこそ面白く無いと思ったアイツは俺達に力をくれたのである。
あまりに強力な、”与えられた力”は俺を確かに助けてくれた。
だが、それと同時にエレンやルビ達を見て”うらやましい”と、”申し訳ない”と思ったのである。
俺の力は、努力してきた人々へ浅くない心の傷を負わせてしまったはずだから。
「それに今でこそ板についてきていたが、初めの頃は”自分を偽る”なんてことどう思っていたんだ?」
あぁ…最悪だったよ。
いつも言動には気をつけなきゃ行けないし、皆に求められることをしなければならないのだから。
「仲間については、どう思っていたんだ」
そんなの、決まってる。
辛かったさ、辛かったに決まっているだろう。
なんで”恋心”なんて知りながら、それでも知らないふりを
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