第4章
1節―変わった世界―
1ヶ月前の状況
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は息を整え剣を仕舞うと町民たちに頭を下げる。
「えっ…?」
誰がそうこぼしたのだろうか。
いや、誰でも構わない。
目の前の天使を消し飛ばした張本人が、いきなり頭を下げている現実は変わらないのだから。
「…すまない。街をここまでボロボロにしてしまって、もう少し早く来れなくて」
何を言っているのか、と町民たちは思う。
訳もわからぬまま死にそうだったのを助けてくれたのは、謝っている騎士自身なのだから。
ほけている町民たちに、そのままエレンは言葉を続ける。
「そして――」
一旦息を吸い込む。
「――どうか、ソウヤを怒らないでやってほしい」
数人の人が、拳を握りしめる。
仕方ないだろう、エレンが来るまでは多くの人が原因を作ったソウヤを責めているのだから。
それをわかっている上で、エレンは続けた。
「彼は、今私達のために、そして自分の為に必死になって戦っている」
エレンは頭をあげると、自分が作り上げた門までの跡を指す。
「先ほどの天使以上の相手と、日々戦っているのだ」
「皆のために」と言葉を続けるエレン。
「だから、彼を責めないでくれ。頼む」
再び深く頭を下げるエレン。
町民はまたしばらく呆けていたが、結局恩人のエレンの言葉を無下にすることは出来ず、ソウヤを責めるのは辞めた。
これは、ソウヤが聖域を出る1ヶ月前の話である。
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