第4章
1節―変わった世界―
神域からの離脱
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レーヌ達の予想は正に当たっていたというわけである。
その言葉に何も良い返す言葉が出ず、ルリはただ目を閉じて昔の自分を恥じた。
「ルリだけ…じゃ、ない。私、も…」
エミアはルビの言葉に頷くと、「大丈夫なのですよ」と優しげに笑う。
「えっと、エレンさんから伝言があるのです」
――もし、お前たちが自分の恋心をソウヤに伝えたのなら、それは恥じるべきものではない。もし、恥じるのならばずっと前に恋心を抱いていた私が、さっさと伝えていなかったのが悪いのだ。
その言葉に、ルリは違うと言いたくなる。
本当にソウヤの為と思うのなら、この恋心は絶対に伝えるべきではなかったのだ。
久しぶりに一緒に居ることに嬉しくなり、後先考えずこの気持ちを吐露してしまった自分が悪いのだ…と。
そこまで考えたルリに、ふと袖を引く者。
ルビだ。
「私は、ソウヤの為…に今、やるべき、こと…やる」
ルビの表情は本物だ、今自分で出来ることを全力でやろうとしている。
その顔を見たルリは握りこぶしを作った。
―そう、ずっと悔やんでいても仕方ないはずです。確かに、”後悔は人を成長させる”とはよく言いますが、後悔してばかりでは成長すら出来ないのも確か…。
ならば、やることは決まったも当然である。
ルリは深春とエミアの方へ向き、深く辞儀をした。
「――ソウヤさんを、お願いします」
「お願い、しま…す」
ルビもそれに習って頭を下げる。
それを見たエミアは微笑むと、ルリに近寄って肩に手を置いた。
何事かと顔をあげるルリに対してエミアは口を開く。
「大丈夫なのですよ、私がしっかりソウヤさんの自我を取り戻してみせるのです。それに――」
ルリの耳元に顔を近づけたエミアは、小さく囁いた。
「――私も、ソウヤさんに伝えたい事があるのです」
「――――――っ!?」
ビクリとルリは身体を震わせると、まさか…とエミアを見つめる。
ルリの反応を見たエミアは意地悪な笑みを浮かべた。
「私は別に恋心とは言ってませんよ、ルリさん?」
「ッ…!」
ルリの顔がみるみる赤くなっていく。
深春もそれを見て、ニヤつきを抑えられない。
2人のその視線を真っ向に受けたルリは、顔を真っ赤にさせて叫ぶ。
「――もうっ!」
だが、それが自身の後悔を振り切るためにしてくれたのだと、ルリは感じていた。
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