暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十二話 回答
[10/10]
[8]
前話
[9]
前
最初
[1]
後書き
直々の秘蔵っ子と噂の絶えない異世界の少年!!なんとここまで全試合1R(ラウンド)K.O勝ち!セルジオ・マルティネス選手ゥ!!」
こちらの歓声も、中々の大きさだ。出場こそ初出場だが、セルジオのコーチであるミゲルは既に何度も世界代表戦出場選手を輩出している名コーチである。数年前に第一線から身を引いたと思われていた彼がわざわざ戻ってまで押し上げてきた秘蔵っ子と会っては、注目するなというほうが無理な相談だ。
主審が間に入り説明をする間、セルジオはずっとワクワクとした笑顔を浮かべ、エーデルはその様子を真っ直ぐに見ていた。
やがては慣れて二人が向かい合う、そこで……
「……?」
「…………」
エーデルはセルジオに向けて、深々と礼を一つする、その意味が分からないらしかったセルジオは、少し不思議そうに小首をかしげて、しかし開幕のベルが鳴るとすぐに表情を戻し、左腕を軽く前に出して半身に構えを取る。対するエーデルも礼を終え、静かな動きで右足右手を前に左手を腰に当てて構えた。
刹那の静寂の後……
「[Ready set──]」
「[──Fight!!!]」
開幕を知らせる鐘が鳴り響いた。
────
ゴングと同時に、セルジオの姿が書き消える。否、観客席のほとんどの客には、そのように見えた。そう錯覚させるほどの圧倒的なスピードの踏み込みが、一直線にエーデルを捕える。
「ッ!」
「!」
が、これまでのセルジオが相対した多くの選手と同様に何も出来ないという展開は、目の前の彼には有り得なかった。瞬時に反応したエーデルの左正拳が、即座に迎撃に動く、相手の突進力を逆利用しての、カウンターとして置くように放たれる其れ、後踏み込み一足でセルジオの間合いと言うところで放たれたそれは、セルジオの運動エネルギーを殺すだけの距離が無い以上、ほぼ確実に当たる、筈だった。
「!?」
次の瞬間に、今度こそエーデルの視界において、セルジオの身体が“ブレる”。突進しながら、上体を即座に右にずらしたセルジオが、その拳を「潜り抜けた」のだ。
重心を右にずらした彼の身体は、滑るようにエーデルの懐、やや右側へと移動した彼は、放とうとしていた右のストレートを、即座に左のコンパクトなフックに切り替え……
「…………あレ?」
次の瞬間、セルジオの身体は宙を舞っていた。
身体が空中に浮いている、即座にそれを理解して、彼は瞬時に体制を立て直す。ギリギリのところで頭から着地するのだけは避けた彼の視界の先には……先程と何ら変わらない様子で構えを取ってこちらを見る、青年の姿がある。
「……うん、強い」
「…………!」
静かな声、けれど彼がかつて聞いたどんな獣の唸りよりも脅威と感じるその一言が、セルジオの産毛を震わせた。
[8]
前話
[9]
前
最初
[1]
後書き
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ