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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十二話 回答
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して気に食わないが……まぁ、それくらいなら些細な事の範疇である。

「それなら、あの二人もこっちに来ればいいのに……」
「…………」
そう言ったディエチに軽く肩をすくめて答えるが内心、クラナはそれは無理だろうと知っていた。何故ならつい先ほど、クレヴァー・レイリ―がどれだけ女子に対して苦手意識があるかを、とっくり聞かされたばかりだからだ。少なくともリオやコロナ、ヴィヴィオに詰め寄られて、精神的に平静でいられるとはとても思えなかった。
そんな中……

「っと、そろそろ、次の試合が始まるっスよ〜!」
そう言われて視線をリングに戻す。クラナにとっては注目せざるを得ない一戦が、始まろうとしていた。

────

エーデル・シュタイン先ほど見た試合を思い出しながら、天井に視線を向けていた。同じ予選四組に居る青年、この大会で、今回自分がまみえるのを楽しみにしている人物の一人でもある彼が、つい先ほど見せた、圧倒的に不利な状況からの逆転と勝利。

「…………」
彼と、一戦交えてみたい、先の楽しみが増えた事にどこか期待しつつ、しかし心を平静に保つ。先を見据えるあまりに、今の相手を見る事を疎かにすることは、その相手は勿論、自分に技を授けてくれた人、今日という日の為に自分を支えてくれた人にも失礼だ。

「シュタイン選手、入場をお願いします!」
「……はい」
閉じていた目を、スッと開いて歩きだす、手元に掛けたお守りにそっと呼びかける。

「……行くよ、イーリス」
[はいマスター!]

────

「さて、準備はよいか?セルジオ」
「うン!いつでもオッケーだゾ!」
威勢よく答えた少年、セルジオ・マルティネスのコーチである、ミゲル・サラスが、その答えに一つ大きくうなづく。実際、今日のコンディションは良い。指導者として、選手の体調管理は常に怠らないようにしているし、セルジオはミゲルの家に住み込みで日々の練習に励んでおり、食事、睡眠の管理も万全を期している。一年ほど前にセルジオの才能に惚れこんで彼と彼の両親を何とか説得し、遠い別の世界からわざわざセルジオを引き取ってきたミゲルに取ってそれは、コーチである以前に保護者として当然の責任であり、同時に彼を試合に出し、勝たせたいという強い決意の表れでもある。
そのミゲルをして、気力、体力共に十全であると判断しているのだ。間違いなく、今日のセルジオは絶好調だろう。
しかしそれでも、今日の試合には一本、懸念材料もあった。

「セルジオ、今回の相手は……恐らく今までのようにはいかんだろう。くれぐれも、油断だけはするなよ」
今日の相手は、都市本戦でも十位に入る実力者だ。セルジオの実力が現在のIMの環境にどれだけ通用するか確かめる意味ではいい機会だが、地区予選本線の序盤で当たりたい相手ではなかっ
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