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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十二話 回答
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らはダチだよな?」
「?う、うん……」
確認するように問うライノに、おずおずとクレイが頷く。「それなら」と、ライノが続けた。

「俺にはなんでクレイって呼べって言わなかったんだ?」
「……えっと、何となく?」
「オイィ!?俺は今ちょっと傷付きましたねぇ!?なんだ、ダチだけどライバルじゃねぇってか!?さては舐めてんなお前!?」
「えぇ!?そ、そんな事ないけど……」
[お言葉ですが舐められるとしても仕方無いかと、少なくともマスターのような方が侮られたとしても私には何の疑問もございませんし寧ろ当然であると思いますが]
「俺の尊厳何処也や!!?」
相変わらず自分のデバイスを相手にかってに騒ぎ始める自分達の親友を横目に、二人の青年は苦笑を交わすのだった。

────

「あ、来たよヴィヴィオ!」
「お疲れ様〜」
「「クラナ先輩、おめでとうございます!」」
「おめでとうございます、先輩」
「あ、あぁ……」
観客席に着くや否や駆け寄ってきたリオとコロナに、若干戸惑いながらもクラナは頷いて答える。正直な所、未だに彼女達のこの元気のいい感覚に慣れない。せめて隣で頭を下げているアインハルトくらい落ち着いた話し方をしてくれると戸惑わずに済むのだが……

「ほら、ヴィヴィオ」
「あ!え、えっと……」
「…………」
そのハイテンションな二人の間から、押し出されるように妹が顔を出す。上目遣いに自分を見るその二色の瞳には、迷いと、ほんの少しの恐れのような感情が浮かんでいるように見えた。しかし顔を上げて真っすぐに自分を見ると、ヴィヴィオは普段の彼女とは違う少し不器用な笑顔を浮かべて言う。

「お、おめでとう、お兄ちゃん……次も頑張ってね!」
「…………」
言うべきことは分かっている。「ありがとう」そのたった一言を言ってやれば、彼女の顔には花のような笑顔が浮かぶ筈だ。ジークに言ったように、なのはに言ったように、そのたった一言だけで済む。なのに……

「ぁ……」
何故かその言葉が、のどの奥でつまり、声にならない。たった一言、たった五文字の言葉だというのに、その言葉が、音にならない。
結局……

「……あぁ」
口に出たのは、いつものそれ、そっけない、短い一言の受け答えだけだった。経った一戦乗り越えただけでは、足りないという事なのかもしれない。それでも、ヴィヴィオはそれが奇跡のように表情を明るくしてコクリと頷く。
分かっている、ヴィヴィオにとって、自分は彼女の言葉に答えるだけでも奇跡的な存在だ。何せついこの間まで、その言葉に答えるどころか、その身を視界に入れる事すら避けてきたのだから。そうさせたのは自分で、自分と彼女の関係をこんなにも歪ませてしまったのもまた、クラナ自身だ。

『……ごめんな』
そう言おうとしても、やはり
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