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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十九話 黒鐘を知る日
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りしたケイジさんの問いに、雪鳴さんは首を左右に振って答えた。

「聞けて嬉しかった。 黒鐘のこと、もっと知ることができたから」

「ほぉ……。 坊主の知られたくない、坊主の思い出したくないことでもか?」

「だからこそ、知って良かった」

 そういって雪鳴さんは、眠っている小伊坂君の顔を見て、優しく微笑んだ。

「黒鐘を独りにしないで済むから」

 そうだ。

 私も、同じことを思った。

 小伊坂君は、独りでずっと抱えてた。

 恵まれてない、何もかもが足りてない。

 なのに誰にも何も求めなくて、求めるものは自力で。

 独りで抱えるのは強さかもしれないけど、独りになるのってやっぱり寂しいことだと思う。

 でも、私達は小伊坂君の抱えているものを知った。

 彼の抱える『核』を理解した。

 なら、もう他人じゃない。

 小伊坂君が抱えているものを、支えてあげられる。

 ……ううん、支えたい。

「ケイジさん」

「なんだ?」

「私達、ジュエルシードの捜査に参加できる許可を、リンディさんからもらったんです」

「……ほ、ほぉ。 そ、それで?」

 ……なんで急に動揺したんだろう?

 ――――そもそも小伊坂君とケイジさんが戦ったのが、ジュエルシード捜査の参加権をかけたものにも関わらず、別サイドで許可をもらってたから、この戦いって実は無駄だったんじゃ……っていう動揺だということに気づいたのは、小伊坂君が目覚めたあとの話しだった。
 
「小伊坂君が目覚めたら、また無茶をしちゃうと思うんです。 だから、早く見つけたいんです」

「……で?」

「……お願います。 手伝ってください!」

 私は立ち上がって、深々と頭を下げた。

 ワガママを言ってるのは分かってる。

 だけど、小伊坂君のことを考えると、ジュエルシードは早く見つけないといけない。

 そのためには、一人でも多くの協力が必要だと思う。

 私は命令ができるほど偉くないから、こうして頭を下げることしかできない。

「……あのよ」

「は、はい」

「俺がいつ、手伝わないって言った?」

「へ?」

 呆れ混じりの言葉に、私は顔を上げてケイジさんの顔を見ると、やっぱり呆れた表情で後頭部を掻いていた。

 そしてため息混じりに、私と、雪鳴さんと柚那ちゃんを見た。

「可愛いお嬢ちゃんが頭を下げてんだ。 ここで断っちゃ、男じゃねぇわな」

「……ありがとうございます!」

「……ったく、坊主も隅に置けねぇな」

 こうして私は、私たちは、ジュエルシード捜索に本格的に関わることになった。

 小伊坂君の負担を減らすために頑張ろうと、改めて決意
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