第3章
2節―”神殺し”を追い求めて―
出発前日
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だったな」
「封印状態のソウヤさんにも勝てないなんて、ちょっと悔しいです」
空中へ投げ出された鞘をソウヤは左手で受け取ると、雪無を仕舞い軽くはたいてから腰につける。
ルリは片手間で地面を修復して、顔は少し膨れ顔だ。
「まぁ、俺とルリじゃ役割が違うからな。仕方ない。それにハンデもちゃんと両方あったろ?」
「そのハンデが私とソウヤさんでは違い過ぎますけどね…」
残念な表情をするルリに、ソウヤは少し困り顔で見つめる。
―俺の強さは、全部”貰い物”だ。それを除けば俺は普通の冒険者にも負ける。
それが、ソウヤが困り顔になっている原因だった。
”貰い物の力”。
それは”剣神”を初め、”『人間』”や”肉体強化”などのこの世界に来てから貰っていた力を指す。
ソウヤが”貰い物の力”に対し、ルリは”自力で身に付けた力”だ。
ルリ自身の才能に加え、血も滲むような特訓をしてきたからこその力。
それはソウヤの持つ”力”よりも、圧倒的に信頼でき頼りになる力である。
自身の力とルリ達の力の差を、誰でもないソウヤ自身が一番理解していた。
「ま、慰め合いはそこまでにしておくのじゃの」
「ギルティア、もう大丈夫だろう?」
先ほどの戦いを観戦していたギルティアは、ソウヤの言葉に頷く。
今までの1週間、それは”ソウヤが封印状態である程度戦えるようになる”という目標を身につける期間だったのだ。
”ある程度”とは、ちなみに”天使”と互角という意味である。
「じゃあ――」
ソウヤの言葉に続くように、ギルティアは話す。
「――うむ、帰るが良い。妖精たちの世界へ」
ギルティアはゆっくりと家の中へ戻っていく。
それを見届けたソウヤは、ゆっくりとため息を付きルリに手を伸ばす。
「さ、帰るぞ」
「――はい」
自身の手に触れたルリの手が小さく震えているのを、ソウヤは感じていた。
ギルティアの住む家へと戻り、ソウヤ達は話し合って”明日の朝”に戻ることになった。
理由は極々簡単で、出来るだけ早く元の場所へ戻るためだ。
その日の夜、ソウヤは横にならず部屋の端っこで座り込み考えていた。
『エレンやルリ達は必ず封印する者となるじゃろう』
―エレン達が、半分生きて死んでいるような状態になる。それで、本当に良いのだろうか。
長い間、ルリやエレン達とソウヤは行動を共にして旅をしてきた。
幾度もなく危険な橋を渡ったし、幾度もなく強敵に相手にしたし、幾度もなく人々を助けた。
”掛け替えのない存在”としてソウヤは彼女らを見ている。
――下手をすれば、”恋人”という存在以上に。
だからこそ、ソウヤはギルティアの言葉
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ