暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
第3章
2節―”神殺し”を追い求めて―
出発前日
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だったな」
「封印状態のソウヤさんにも勝てないなんて、ちょっと悔しいです」

 空中へ投げ出された鞘をソウヤは左手で受け取ると、雪無を仕舞い軽くはたいてから腰につける。
 ルリは片手間で地面を修復して、顔は少し膨れ顔だ。

「まぁ、俺とルリじゃ役割が違うからな。仕方ない。それにハンデもちゃんと両方あったろ?」
「そのハンデが私とソウヤさんでは違い過ぎますけどね…」

 残念な表情をするルリに、ソウヤは少し困り顔で見つめる。

 ―俺の強さは、全部”貰い物”だ。それを除けば俺は普通の冒険者にも負ける。

 それが、ソウヤが困り顔になっている原因だった。
 ”貰い物の力”。
 それは”剣神”を初め、”『人間』”や”肉体強化”などのこの世界に来てから貰っていた力を指す。

 ソウヤが”貰い物の力”に対し、ルリは”自力で身に付けた力”だ。
 ルリ自身の才能に加え、血も滲むような特訓をしてきたからこその力。
 それはソウヤの持つ”力”よりも、圧倒的に信頼でき頼りになる力である。

 自身の力とルリ達の力の差を、誰でもないソウヤ自身が一番理解していた。

「ま、慰め合いはそこまでにしておくのじゃの」
「ギルティア、もう大丈夫だろう?」

 先ほどの戦いを観戦していたギルティアは、ソウヤの言葉に頷く。
 今までの1週間、それは”ソウヤが封印状態である程度戦えるようになる”という目標を身につける期間だったのだ。
 ”ある程度”とは、ちなみに”天使”と互角という意味である。

「じゃあ――」

 ソウヤの言葉に続くように、ギルティアは話す。

「――うむ、帰るが良い。妖精たちの世界へ」

 ギルティアはゆっくりと家の中へ戻っていく。
 それを見届けたソウヤは、ゆっくりとため息を付きルリに手を伸ばす。

「さ、帰るぞ」
「――はい」

 自身の手に触れたルリの手が小さく震えているのを、ソウヤは感じていた。




 ギルティアの住む家へと戻り、ソウヤ達は話し合って”明日の朝”に戻ることになった。
 理由は極々簡単で、出来るだけ早く元の場所へ戻るためだ。

 その日の夜、ソウヤは横にならず部屋の端っこで座り込み考えていた。

『エレンやルリ達は必ず封印する者となるじゃろう』

 ―エレン達が、半分生きて死んでいるような状態になる。それで、本当に良いのだろうか。

 長い間、ルリやエレン達とソウヤは行動を共にして旅をしてきた。
 幾度もなく危険な橋を渡ったし、幾度もなく強敵に相手にしたし、幾度もなく人々を助けた。
 ”掛け替えのない存在”としてソウヤは彼女らを見ている。

 ――下手をすれば、”恋人”という存在以上に。

 だからこそ、ソウヤはギルティアの言葉
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