暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
第3章
2節―”神殺し”を追い求めて―
外の現状と、これから
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など1つもないのはソウヤが一番良くわかっていた。
 今できることは現状の確認とこれからの目標を決めることだ。

「…エレンたちはどうなっているんだ?」
「エレンさん達はそれぞれの大陸へ別れ、魔族との戦争の傷跡を支援している…と思います」

 「そう言って別れたので…」とすまなさそうな表情でそういうルリ。
 ソウヤは感謝の礼を一言言うと、立ち上がった。

「他に何かないか?伝えることとか」
「はい。…最後にエレンさん達から伝言があります」

 ルリがソウヤの目を見てそう伝える。
 立ち上がったままソウヤはそれを聞くことにした。

「――”帰ってきたら、まずエルフの大陸へ行きエミアの元へ行って欲しい”だそうです」
「エミア…」

 ソウヤは誰だったかと思考を巡らせ…エルフの大陸で命を救った少女であったことを思い出す。
 理由が聞きたかったが、他でもない仲間の頼みなのだ、それだけで受ける価値はある。

「わかった、ならそうしよう」
「ありがとうございます」

 ルリは頭を下げると、ニコリと微笑んだ。
 瞬間の間それにソウヤは見惚れると頷く。

「なら、ルリはここでギルティアの元で守護者の力を扱えるように頼む」
「はい」
「ルビと暁月は、身体が完全になるまで身体を休めておけ。治ったら俺と付き合ってくれ、少しでもこの”剣神”の熟練度を高めたい」
「ん」
「了解でござる」

 ソウヤはそれに頷くと、ギルティアを見つめ「頼む」と一言言って家の戸を開けて外に出た。

 外に出てしばらく歩いたソウヤは、雪無を鞘から抜き放つと森の方向へ向かって脚を自分が思った通りの強さで蹴る。
 すると、思った通りの弱めの力で脚が地を蹴りソウヤは前へ向かう。
 だがそれでも今までとは段違いの速度でソウヤは駆け出し、土はえぐれ土埃が大きく巻き上がった。

「ぐッ…!」

 ―力が強すぎる…!

 ソウヤはあまりの力に扱いきれないのだ。

 簡単にいえば、普通の人がオリンピック選手並の身体能力を得るとする。
 すると普通の人は”いつも”の軽く駆ける感覚で走ると”オリンピック選手の軽く駆ける”で地を蹴るのだ。
 そうなれば、普通の人はその速さを扱いきれず逆に振り回され無用の傷を負うことになる。

 それが今のソウヤの状態であった。
 予想以上の速さで目的の森の奥の広場についたソウヤは一切息を荒げずに、大きく溜め息をつく。

 ―まず、手加減の練習だな…。

 そう”神殺し”を成し遂げようとする者とは思えないことを目標とするのだった…。
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