第3章
2節―”神殺し”を追い求めて―
望むもの
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ソウヤに似ている容姿をした男性が――
「全てを創りだす力か」
最期に、全員の声が合わさり――
「お前は何を望む」
そのセリフを全て聞いた後、ソウヤは悟った。
試されているのだ…と。
―……ただ、俺にとっては関係のないことだけど。
途中から悟っていたソウヤは、とっくに答えは決まっていたのだ。
「俺は――」
大きく息を吸い、これに反応してくれるか半信半疑になりながら小さく、されど覚悟の決まった声でそれを言った。
「――全てを望まない」
ソウヤが出した答えは、破壊・癒し・守り・自由・自然・創造全ての力を拒否するものだった。
沈黙。
反応を示してくれないので、ソウヤが判断をしくじったかっ!?と思い始めたその時、赤髪の男性が口を開く。
「お前の望み。確かに聞きとった」
「その心意気は良いでしょう」
「だが、小僧は望まくしてどう戦う」
「あたし達の力無しに」
「妖精よ、あなたは戦えるのですか」
「何も出来ないお前に」
「――一体、何が出来る」
順に炎・水・土・風・木・鋼の人々はソウヤに問う。
――力を拒否し、何が出来るのかと。
「――じゃあ、言わせてもらうよ。俺の望み」
それに答えるようにソウヤは口にする。
ソウヤには破壊も、癒しも、守りも、自由も、自然も、創造もいらない。
大体、そんな力を手に入れてどうするというのか。
「俺の望みは1つだ」
ソウヤは不敵な笑みを浮かべる。
「創造神を倒して元の世界に帰る…叶えてみろよ」
挑発的なソウヤの言動に、周りの人々は静かに殺気立つ。
それを「はっ!」と弾き飛ばしたソウヤは鋭い視線を全員に交わす。
「俺はそれしかいらない。俺は――」
故にソウヤは否定する。
「――俺は、妖精の力なんていらない」
今の今まで自身を助け、最強たらしめてきたその力を。
「――――――――」
予想外だったのだろうか、ソウヤを囲む人々は答えることは出来なかった。
力を欲しがるどころか、拒否するなんて夢にも思わなかったのだろう。
だが、しばらくの沈黙の後、炎の人はソウヤに語りかける。
「……お前の望み、確かに受け取った。お前に力を託そう」
こいつ、俺の言葉を聞いていなかったのだろうか。
炎の人から出た言葉はソウヤをそう思わしても仕方のない事だった。
それを理解しているのか、水の人は笑う。
「安心して。今から託すのは、妖精の力じゃない」
やれやれと土の人は肩をすくめる。
「流石にあれだけ言われりゃ渡せねぇよ」
風の人は呑気に空中に身体を寝かせながら面白そうに笑った。
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