第3章
2節―”神殺し”を追い求めて―
説得
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であり続けようとしてるんだ。
「ほんと、馬鹿でござるね」
呆れを通り越して思わず笑みを浮かべた深春は、先ほどの動揺を完全に無くしているようだった。
深春は立ち上がると、ソウヤはを見上げて不意に彼の体を触る。
「――――――ッ!?」
ソウヤがびっくりしたように身体を震わせるが、深春は気にせず続けた。
服の上では全くわからなかった厚い筋肉。
まるで何年もジムに通っているかのようなしっかりとした硬さのある筋肉。
深春はソウヤの手を両手で握りしめる。
ゴツゴツとした男らしい手。
凄まじいほどの豆の量と、潰した血で少し黒くなった手のひら。
最期に深春は、硬直しているソウヤを見上げた。
幼さを取り除いた細長い顔つき。
全体的に言えば中の上か上の下か…それくらいの顔つき。
全体的に言えば、”ちょっと格好良い細マッチョ”だろうか。
―ほんと、なんでだろう。
「ソウヤ殿――」
―男恐怖症だったはずの私が…。
「――ありがとう」
―ここまで男に触れられているなんて。
深春は、無性に口から出て来たがった言葉を吐き出す。
ソウヤは驚いたように顔を歪めると、大きく溜め息をついて苦笑を浮かべる。
「俺は何にもしてないぞ」
「そこは別に良いよって言うところでござるっ!」
ソウヤの正論が何故か深春にはたき落とされ、無情にも持論を突きつけられる。
すっかり元にもどった彼女。
「んじゃ、別にいいよ」
「んじゃってなんでござるか、んじゃって…」
互いに苦笑しあう2人。
深春が気絶していた時間が長かったせいか、日が完全に落ちようとしていた。
ソウヤは夕日を見つめてから、深春に顔を向ける。
「ま、俺達はもう敵じゃないんだろ?」
「ん〜。どうでござるかね」
深春は申し訳無さそうに頭を掻く。
「だってほら、小生1週間ここを守らなければ元の世界に戻されるわけでござるし」
「あっ」
忘れてたと言わんばかりのソウヤの表情に、深春は笑う。
「嘘でござるよ」
「――は?」
唐突な嘘宣言に、ソウヤは思わず間抜けな声を出す。
それを聞いたら最期。
深春は弾けたように笑い出した。
「あっはははははははは!!」
「な、なんだ…!」
目尻に涙を溜めながら深春は笑う。
「だって、最初、凄いクールな人…ぷぷ…でござるな〜って…ふ、ふふ……思ってた、から」
笑いをなんとか堪えながら深春はソウヤに告げる。
ソウヤは状況とは全く噛み合わない現状に頭を抑え、冷静な声で問う。
「…で?なんで大丈夫なんだよ」
「えっ?だって――」
深春は、笑い疲れた
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