第3章
2節―”神殺し”を追い求めて―
深春の過去
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くださいでござる」
「じゃあ、暁月…お前の――」
ソウヤは、最も深春に対して疑問に思っていたことを問う。
「――お前の、過去を話して欲しい」
「――――――!」
その言葉を聞き、静かに目を見開く深春。
そして、やがて小さく笑うとどこか遠い目をした深春は語りだした。
「いいでござるよ。小生は――」
ポツリと深春は言葉をこぼす。
「――誰からも愛されない子供でござったよ」
誰からも愛されない。
その一言がとてつもなくソウヤには重く感じられた。
だからこそ、ソウヤはその言葉に対して何一つ口を出さない。
「小生は、アイツが母を強姦し偶然孕んだ子でござる。当然、そんなことを思いもしなかったアイツは母が孕んだことを知ると、すぐさま逃げ出したのでござる」
深春の瞳には、何も映っていないように感じられた。
そう感じさせるだけの虚無が、彼女の目にはあったのだ。
「それでも母は、小生を産んでくれたのでござる。そして、何とかシングルマザーとして小生を育ててくれたのでござる。貧しながらも幸せな家庭だったのでござった。」
だが、幸せだと語った深春の身体は震え、目には怯えを潜ませていた。
”母”という存在に恐怖感を抱いているように。
一体、これからどうなったのかソウヤにはわからない。
「でも、元手の金もないのにシングルマザーなんて、世知辛い世の中では無理な話だったのでござる。段々、生活が苦しくなり母の貯金も無くなると――」
彼女の瞳に、透明な液体が溜まっていき…流れる。
そんな深春をどうにもしてやることは出来ず、ただただソウヤは真剣に聞き続けた。
「――時を待っていたかのように現れた男が、母をあの地獄に連れだしたのでござる」
「…地獄?」
思わず口を開いてしまったソウヤの言葉に、深春身体を震わせながら頷いた。
「女性でも、簡単に金を稼げてしまう…売春でござるよ」
「――――――」
ソウヤは、言葉が詰まったのを感じた。
―なんだよ、それ。
「売春で稼ぐ。それはとても効率が良いことでござった。特に、母は美人でござったから。瞬く間に小生たちの生活は平均の家庭並みに安定し、小生は高校生になることも出来たでござった」
確かに、だいぶ生活も楽になっただろう。
それだけ女性が身を売る行為は、金になってしまうのだ。
だが、それでハッピーエンド…なるはずもないのがこの世の中なのである。
「でも、その生活が続いたのは小生が高校2年生になるまででござった。丁度、2年ほど前に10万人の人々が一気に行方不明になっていたのでござる」
そこで、ソウヤは疑問が頭に湧いてくる。
だがそれを聞くのはこの話が終わってか
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