第3章
2節―”神殺し”を追い求めて―
勝負
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時にして、20秒ほどだろうか。
ムクリとソウヤは音もなく立ち上がった。
身体中からは何もしていないはずなのに汗が流れている。
時を同じくして、深春も目を開ける。
その身体から放たれる圧力は瞑想する前より何倍にも膨れ上がっていた。
「終ったで、ござるよ」
「あぁ、俺も準備は終わった」
深春とソウヤ、両者ともがそう言うと少し息を吸い――
「『鋼の加護』」
「『身体強化』」
――同時に自身を強化した。
同時に放たれる凄まじい力の波。
ソウヤは20秒間一切動けなくなる代わりに、今までとは比にならないほどの肉体の強化を得られる『肉体強化』を王級まで伸ばしたことで手に入れた技を使う。
例えるならば、ソウヤは豪の力で深春は柔の力と言うべきだろうか。
それぞれ違うもその気に触れるだけでも失神できてしまう力の応酬。
風は吹いていないのだが、その力の波だけでソウヤと深春の周りには暴風が吹き荒れていた。
ソウヤと深春はそれぞれ構える。
深春は正面に構え、ソウヤは周りの特性上上段にしか構えた。
そして――
「っ…!」
――音もなくソウヤが深春に向けて突撃し、ところかまわずの大振りに巨剣を振るう。
それを見た深春は、リーチ上こちらの刃が届かないので”縮地”によりリーチを補った。
しかし、それと同時に迫り来るのは停止時間である。
一瞬でさえこの隙は1秒10秒にもなり得るのがソウヤ達の至る世界だ。
音速の壁を超え、残像が見えるほどの速さで動けない深春へ刃が迫る。
「っ…!?」
ゾッとソウヤの背中を駆け巡る悪寒。
それこそ、まさしく長年の戦いの日々により積み上げてきたアラームだ。
そしてそれは一寸の狂いも無くソウヤの危険を察知し行動する余裕を与える。
即座に巨剣を自分のもとへ力技で引き上げ身体を全力で捻った。
音のない剣の残像の軌跡。
それを視認出来たのはソウヤであったからでこそ。
ソウヤと同じく音速の壁を超えた剣撃はまさしく先ほどまでソウヤが居た場所の喉を掻っ切っていた。
人ならざる反応速度を見せたソウヤに深春は一瞬驚いた様子になると、嬉しそうに一気に顔を笑みで歪める。
ひとまず両者とも距離を取ると、一息入れた。
「…正直、びっくりしたでござる。ソウヤ殿がこんなに強いとは」
「…それは俺も同じ――」
そう言うと、ソウヤは土を大きく抉りながら深春に再度突っ込むと上段に構え巨剣を振るう。
「――だっ!」
深春は今度は自ら足を動かしソウヤの元へ走って行く。
上から迫る圧倒的質量。
それを影と
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