第3章
1節―最果ての宮―
100層 ―後編―
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据えたウリエルはその飛び出すほんの一瞬、罠だと悟る。
だが、詠唱を許してしまえば炎の身体である自分が弱い水魔法を放ってくるだろうとも考えつく。
どちらが危険かを思考したウリエルは後ろに下がり、避けることに専念することを選ぶ。
それを見たソウヤはゆっくりと練っていた魔力を解き放った。
「『水域』」
ソウヤの足元から多量の水が溢れでて、この空間を水で埋める勢いで溜まっていく。
それを見たウリエルはこの水が普通の水であることを確認すると、一気にソウヤに突撃する。
ウリエルの身体を形成する炎は、マグマよりも温度が高い。
だが、魔力によって作られているためその熱さが周りの空間などに伝わることはない。
しかし温度が極度に高いことは事実なので、水は触れた瞬間から一瞬で蒸発していく。
すでに風魔法で空間を作り水の底に沈んで待ち構えているソウヤは、突撃してくるウリエルに向けて剣を振り上げ――
「…っ!?」
――そして、残り数mというところで目の前のソウヤが幻像だということに気が付いた。
―しまったっ!水の中だから反応が遅れた…!
そう気付いたのも遅く、ウリエルがその大斧を防御姿勢に構え終わる前にソウヤの準備は整っていた。
「『亡霊解放!』」
そう叫んだソウヤは、同時に刀スキルの技である『居合い切り』を発動させ…横薙ぎ。
事実、5m以上はあろう巨剣がその3倍の15m以上になりこの空間を切り裂いた。
そして天災級の力がぶつかり、激しい爆発が起こる。
「ごほっ…!ごほっ!」
ソウヤは爆発の影響で体内に入ってきた水を吐き出すと、凄まじいほどの倦怠感に襲われ膝をついたまま荒い息をする。
ウリエルが生きている可能性…というより生きている確信が合ったため未だに『亡霊解放』は発動したままだ。
ちらりとソウヤが部屋の端っこを見ると、風魔法で守られているルビの姿を確認して大きく溜め息を付いた。
「は、はは…」
そんなかすれた笑い声が不意に木霊する。
それを聞いた瞬間、ソウヤは飛びのき雪無を構えた。
爆発の土煙が未だに蔓延っている中、影が見えた。
「ふ、ふふ…。危ないわね…っ」
ウリエルだ。
その身体は人の形にもどっており、纏っている服はボロボロである。
そのウリエルが荒い息をしながらソウヤは見つめていた、微笑を浮かべて。
「…まだ、やるのか?」
「そんな自殺の真似はしない…わ!」
ウリエルはそう言いながら立ち上がると、ソウヤに近づいて手を差し伸べた。
「100層クリア、おめでとう。景品よ、教えてあげるわ」
「何を…だ?」
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