第3章
1節―最果ての宮―
100層 ―後編―
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雰囲気が変わったのを感じたのか、ウリエルもその両腕が変形した大斧を構える。
「せいぜい、楽しませてほしいわね」
「あぁ、楽しんでいけよ…っな!」
その瞬間、ソウヤはこの世界の壁を超えた。
この世界の人は、どこまで足掻いてもせいぜい出せるのは音速。
実に秒速340m、時速にすると1200kmほどが限界だ。
いわゆる、マッハ1の速さである。
それ以上の速さにすることは”出来ない”。
否、出来ないのではなくそれ以上早くするとステータス上で強化された肉体が破裂するのだ。
しかし、ただ1人その壁を超えた者がいた。
それが今までの歴史上、ただ1人しか居なかった王剣の使い手…最古の王だ。
王剣により最強の肉体にさらなる強化を得た王は、マッハ1の速度を超えることが出来たのである。
ただ、身体中が傷だらけになるが。
そう、ソウヤの持つ剣は”王剣”。
しかも彼自身はこの過去現在の中で最強の肉体を持っている、そう…最古の王さえも追い抜くほどに。
故にソウヤは無傷でマッハ1を超える速度で動けるのである。
「――っく!」
流石に急激に上昇したソウヤの速さに身体が瞬時に反応しなかったのか、瞬きするほどの時間隙ができる。
その小さな、本当に小さな隙でさえ、ソウヤの今の肉体のうえでは大きなものに変化するのだ。
「――!」
音の無い気合で、ソウヤは王剣と化した雪無をウリエルの身体へ突きつける。
空気の壁を突き破り、凄まじいほどの速度でソウヤの突きはウリエルへと伸び――
「…甘いッ!」
――グニャリとウリエルの身体が大穴を開け、ソウヤの突きを躱した。
そのまま、表意をついたことで隙を見せているソウヤへ、逆にウリエルがその手に持つ炎の大斧を振り下ろす。
それを見たソウヤは、
「『盾』…!」
咄嗟に服に付けていた月文字を咄嗟に発動させることで、ほんの一瞬も無い時間、ソウヤは動ける時間を稼いだ。
それを見る余裕も無いソウヤはすぐに足に魔力を練り込んだ風魔法を爆発させると、咄嗟に飛びのいた。
「っち…」
ソウヤは小さく舌打ちすると、顔から流れ出る血を腕で拭き取る。
先ほどの風魔法のせいで、一気にソウヤは加速してしまい身体がその圧力に少々耐え切れなかったのだ。
そして、ソウヤは雪無を握り直すとウリエルに剣を構える。
―あいつの身体、物理じゃ傷つけられない。だが、あいつに効くような魔法は詠唱時間が長過ぎるから論外だ…。
ソウヤは、ふぅ…と小さく息を吐くと次に大きく息を吸った。
―なら…っ!
「――――」
ソウヤはボソボソと小さく詠唱を始めた。
それを見
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