第3章
1節―最果ての宮―
100層―前編―
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00層への扉が、今…2年という歳月を消費して開いたということだ。
中に入ると、そこは巨大な広場だった。
入ってきた扉よりも大きく、ここならば障害を何一つ考えなくとも巨剣を振り回すことが出来そうである。
そしてそれは、ソウヤ達にとって最も有利な点だった。
不意に、明るい巨大な部屋に1人の人物が現れる。
その姿を見て、ソウヤは溜め息を付いた。
「――まぁ、大体予想ついてたが」
「あら、もしかして歓迎されていないのかしら」
クスリと女性は笑った。
ソウヤは呆れ顔でその女性に目線を向ける。
「お前、『この迷宮の100層の敵は私の本気と同じくらい強いわよ?』って言っていたのに、結局お前なのか」
「あら、私と闘うのは不本意?」
女性はからかうように|(好戦的に)笑う。
ソウヤとルビは無言でそれぞれの得物を抜くと、構えた。
「――別に、嫌とは言ってないが?」
「ふふ、嬉しい限りね。じゃあ、私の本気…みせてあげる」
突如、女性の背中から美しい羽が飛び出した。
そして、ソウヤとルビは固まる…その異常なほどの魔力…いや、それで片付けられない力の塊を見て。
「改めて、紹介するわ」
その身から濃密な力を噴き出している女性…否、天使は笑う。
「熾天使、”神の炎”」
周りにまとっている力が、ウリエルが名乗り初めてその形を成す。
それは、炎。
人の手では作り出せぬ、神力を帯びた炎。
目の前のその力の巨大さに、改めてソウヤは運が無いと笑う。
だが、負けているわけには行かないのも事実だった。
手に持つ雪無を巨剣化して構えると、ソウヤも笑う。
「鋼の妖精、ソウヤ」
両者の間に、力がひしめき合う。
そして、飛び出したのは――
「らぁっ!」
――ソウヤだった。
久しく使う巨剣使いの本領の力は、すさまじいものだった。
1度戦ったことのあるウリエルはソウヤの速度に目を見開く。
この迷宮に潜るまでのソウヤは、いわば”力に頼りすぎている”動き方だった。
走るだけでも、戦いでは大きなものとなりうることをその時のソウヤは知らなかったのである。
放つ攻撃に最適な体制を作り出し、余計な力を身体に入れず、スタミナを限界まで減らし、なおかつ風の抵抗をギリギリまで減らす。
その走り方こそ、”達人”と呼ばれる者たちの行う走る方法であり、今ソウヤが行っている走る方法でもあった。
今まで蓄え続けてきたその”力”とそれを使いこなせる”技術”をソウヤは手にしたのである。
それを目にしたウリエルは顔を驚愕へと変え――
―だけど、甘いっ!
――最適な形でソウヤはウ
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