第3章
1節―最果ての宮―
95層―後半―
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時は来た《嵐がやってきた》。
「『亡霊解放!』」
「『竜化解放!』」
一瞬、静けさが起きた。
それはエルトとソウヤが自らを強化する際、必要とする時間。
刹那の静けさが過ぎ去った。
無音。
音もなく、周りの地形が崩れ、音もなく地面が消滅する。
ただ、その力を溢れさせただけで。
クレーターが出来ていく。
それは両者のエネルギーが反発し合い、高め合っている結果だ。
1秒経った後、遅れて音が来た。
台風…いや、竜巻の中を思わせる激しい音と木々が倒れる音が一気に溢れかえる。
「行くぞ、エルト」
「あぁ、ソウヤ。――これが、僕の切り札だ。せいぜい、盗め」
ソウヤは今まで封じてきた巨剣化を発動させ、その刀身に溶岩より遥かに高い炎が纏い目が焼けそうなほど光る雷が震える。
エルトただただ、その剣を構えた。
「雷電獄蒼炎刃――!」
「无刃――!」
猛々しいソウヤの剣に対抗したのは、剣の一振り。
そのソウヤの剣がエルトの剣に接触し…弾けた。
「――――――――!」
ソウヤの顔が驚愕に変わる。
なぜなら、その刀身にまとっていた雷と炎が一瞬にして消えていたからだ。
そしてなにより…雪無が巨剣から普通の剣へと元に戻っていた。
エルトは振り切った状態から刃を返し、素人でも分かるほど無防備な身体を見せているソウヤに向かって剣をふるう。
それは完全無防備なソウヤにとって死ぬ要因と――
「…!?」
――ソウヤがエルトの剣を白刃取りしたことにより、覆された。
そのまま刀身に足をかけて距離をとる。
白刃取りを行う際に投げ出された雪無はしっかりソウヤの手元に帰っていた。
「なるほど…な」
「无刃の特徴、もう理解したんですか?」
ソウヤはそれに頷く。
无刃。
それは魔法的要因を一切使用しない、完全使用者だけの技で繰り出す技である。
効果は、相手が纏う全ての効果を切り払う…それだけだが、単純故に強い。
使用するには使用者が化け物じみた剣術を身につけており、なおかつ化け物じみた身体能力が絶対必要となる。
つまりのところ、”かまいたち的なもので全ての効果を消し去る”という反則物だ。
これの対抗策は1つ。
完全に剣術だけで相手を負かすのみ。
「あとは、正面から出なければいい…と」
ソウヤはそれを確認してから、雪無を構える。
「――じゃあ、俺も奥の手その2と、行くか」
「なら僕も、その2…だね」
両者、また正面から突っ込んでいく。
次の手が最後になるであ
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