第3章
1節―最果ての宮―
95層―前半―
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。
「この馬鹿広い中で、クエストの奴を見つけるのか…」
ソウヤは頭を抑える。
そこへルビがソウヤの袖を引っ張ると、城の方を指す。
「城なら…ある確率、高い…?」
「またはエルト関連か…だな」
すべての町や村で出されたクエストは、ほとんど長からではなく住民だった。
そのセオリー通りに進めるとしたらこの城下町にある確率が非常に高い気もしてしまうのだ。
「とりあえず――」
ソウヤは頭をポリポリと掻くと、その場の問題から逃げるようにルビに提案する。
「――武具屋の売り物、見てみるか」
「…」
仕方ない…という風にルビは少しだけ苦笑いをして頷くのだった。
結局、この階層のクエストの場所を見つけるまでにはそこまでかからなかった。
ソウヤが仮定として出したエルトの親からクエストが出現していたのである。
しかし、エルトの家の場所が分からず結果的にしばらくの間ずっと捜索し続けていたのは余談だ。
「祖母の病気が治らないんです…」
無機質な声で、エルトの父親であろう人物がそう告げた。
久しぶりに聞いたあまりに無機質な声にソウヤは背筋が震えるを覚える。
そこで、祖母の面倒を見ていたエルトが、寝室を出て空いていた椅子に疲れた様子で座り込んだ。
ソウヤはそれを横目で見ると、エルトの父親の目線を再び戻す。
「ほかに治す方法は知らないのか?」
「貴族や大商人が持っている、竜目のクスリなら…」
「わかりました」
それだけ聞くと、ソウヤはもう用はないと立ち上がった。
ルビもソウヤの後に続いて立ち上がる。
ロボットのような人とこれ以上話すのは、寒気が止まらなくソウヤにはただただ苦痛であった。
「ま、待ってください、僕も…!」
そこでついて来ようとしてきたのはエルトだった。
ソウヤはこの迷宮で数少ない感情を持った人であるエルトの申し出を、一瞬思考したがそれに頷く。
確実に何者か…特に竜系と戦うことはほとんど確実だったからである。
「頼む」
エルトはうれしそうな表情をすると、小走りしながら部屋に入り込んだ。
何かを漁っている音が響き、準備をしているのが容易に想像できる。
それからわずか2分ほどで軽鎧を着込んだエルトが出てきたときは流石にソウヤがビビった。
「さ、さぁっ!行きましょうッ」
「あ、ああ…」
生き生きとした声で意気込むエルトに気圧され、若干…いやかなり引きながらうなずいたソウヤ。
キラキラとした純粋な目でエルトはソウヤを見る。
そんな目で見られ、顔が引きつるソウヤ。
不意に、クスリと誰かが笑った。
「…?」
ソウヤとエルトは同時にその笑った人に顔を
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