第3章
1節―最果ての宮―
92層 ―前半―
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が、まるで壁を叩いているような感触が、そしてガラスを叩いた時のような高い音がなる。
「ソウヤ、これ…。結界……?」
「結界はお前だけが扱える魔法だったはずだ」
ルビの結界術は特殊能力であり、ルビが居る限りはルビ以外が持つことは不可能である。
そう、”ルビが居る限りは”。
「ルビが生まれる前に、同じ結界術を持つ奴が作ったということか…」
「多分…」
「解除は?」
ルビは首を横に振る。
「無理。でも、解除法はある」
そうルビがつぶやくと同時に、ソウヤの危険察知能力が警報を鳴らす。
近くに敵がいるのだ、しかもかなり強い敵が。
姿を現したのは巨大なサルみたいな魔物だった。
その姿はずっと昔ソウヤが倒した巨大ザルに極似している。
「行くぞ、ルビ」
「ん…」
ソウヤは腰に吊るした鞘から無骨な形をした雪無を取り出した。
ルビも腰の後ろ側に吊るしてある籠手に手を突っ込み装着する。
雪無をソウヤが構えた瞬間、暴風が吹いたように威圧が周りに飛び回った。
「ウギャアアアッ!」
巨大ザルが一声叫び、その巨体に似合わぬ速度で走り出す。
それと同時にルビは後ろへ少し下がり魔法の演唱を始める。
ソウヤは雪無を片手に、巨大ザルに向けて走りだした。
2分後、そこは木漏れ日が溢れる森ではなく荒れ地と化していた。
巨大な穴…というよりクレーターが複数生成されており、巨大な木々も焼け、倒れ、もとの情景など覚え出せないほどである。
そんななかで、巨大なサルが血を頭から垂れ流しながら地に伏せていた。
本来蹂躙する側であろう巨大なサルの血で濁った目は、未だに戦意を1人の妖精と1人の魔族に向けている。
そして、しばらく睨み続けると急に力が抜けたかのように頭を地面に置いてぴくりとも動かなくなった。
「行くぞ」
「ん」
ソウヤは現れていた結界が消えていたのを確認すると、ルビに1言言って歩き始める。
戦闘に2分も掛かった理由、それは主に相手が巨大だったことだ。
相手がでかい、故に急所である首や心臓、頭を狙うには飛び上がる必要がある。
高速戦闘が行われる中、落ちるときの速度が関係しない空中は愚策どころか自殺行為そのものだ。
ルビの魔法で遠距離射撃を当然狙っていた…が、巨大ザルも素早くどれだけ狙っても当たらなかったのである。
結界によって開かれた場所をソウヤたちは進んでいく。
ある程度進んでいくと、不意に空気が変わる。
「ルビ」
「わかってる」
ルビは即答すると腰に下げてある籠手を装着して魔法の準備をする。
木々の隙間の奥に、敵が見えて2体いたからだ。
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