第3章
1節―最果ての宮―
神域の剣技
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種族が住まう世界に居て…でも、それでも人間を信じてみたくて帰るための翼を片方斬った」
「だけど、人間はそれに反して醜くなっていった…?」
「えぇ。だから不器用な飛び方で私は逃げた、人間を置き去りに」
だから、その手に持つ剣は血に染まっているのだろう。
…人間を信じたいと言う思いで斬った翼の血で。
「さぁ、貴方に教えてあげる。神が使う剣技を…だから”契約”して」
「…」
ソウヤは静かに頷くと、アストレイアに向かって顔を向ける。
彼女はその答えに安堵したように笑うと…構えた。
「教えてあげるわ、人間への愛しさ、尊しさ…その全てを込めた剣技を」
「……」
「今から貴方は、この剣技を見て…そしてこの剣技を超えなさい」
「そして――」と麗しい顔を悲壮に歪めた女神は言った。
「――この世界を”鉄時代”にしないで」
「わかった」
蒼也ではなく、異世界の…鋼の妖精としてのソウヤはそう誓う。
ただ人間を愛し正義を謳った彼女は嬉しそうに笑うと…ソウヤに向けて、神速の剣技を放った。
水面から顔を上げるような、そんな感覚をソウヤは意識が浮き上がってくるのを感じる。
「っ…!」
パッと目を開ければ、そこに映っていたのは静かに見つめる少女…ルビだった。
その美しくも可愛らしいその顔は、目尻に涙を溜め表情を歪ませている。
「ル…ビ?」
「ソウヤ、心配…した」
ソウヤはルビの言葉を聞いて、心が痛むのを感じる。
―”また”、誰かを悲しませてしまった。
全ての者を救うことなぞ出来はしない。
ただ、それでもソウヤはその手につかめるものだけでも…守ろうとしていた。
―その結果がこれだ…。どれだけの――
――どれだけの力を持っていても、救えない。
そんな悲壮めいた心のうちの言葉をソウヤは考えないようにする。
ただ、心配してくれた少女へその手を伸ばして頭をそっと置く。
「すまない、心配を掛けた」
「本当。ソウヤはいつも心配、させる」
ソウヤは、ポンポンと少女の頭を数回優しく叩くとそっと立ち上がった。
硬い石に頭を置いて寝た時のような痛みはなく、視線を少女へ送る。
振るえる脚を押さえつけて、正座をしていた。
日本の文化がないこの世界では、もちろんのこと”正座”という座り方がない。
だが、その正座をしなれない少女はソウヤのために脚の痛みを押さえつけていたのだ。
そこまでしてくれる少女に、守りたいと思わない男はいるだろうか。
しない奴は、ゲイか熟女好きだろうと断言できる。
故に、ソウヤは心に決めた。
「大丈、夫…?」
「大丈夫だ。立てるか?」
ソウヤは
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