第3章
1節―最果ての宮―
神域の剣技
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たクスリと笑う。
「確かに、貴方の心はとても澄んで見える…。…懐かしい」
最後のその一言だけ…その一言がとても懐かしい響きを帯びていて、ソウヤは開きかけていた口を閉じた。
普通なら笑いものになるその言葉も、不思議とすんなりと心に入ってきたからだ。
「貴方のような人が”あの世界”に満ちていれば…未だに黄金時代は無くならずに済んでいたのにね」
「黄金時代…」
聞いたことのある単語に、ソウヤは首をかしげた。
そのソウヤの表情を女性は見ると「あぁ、ごめんなさい」とだけ謝る。
「今から、貴方に剣技をひと通り見せてあげる。それをしっかりと吸収しなさい」
「剣技…?」
女性は頷くと、血の色をした剣を両手で構える。
「ただ、その前に”契約”をして欲しい」
「契約…?」
今までの中で最も真剣な表情をした女性は、ソウヤに人差し指を向けた。
「剣を、必ず醜い欲望のために使わないで」
「…」
そこまで聞いて、ソウヤは目の前の女性を誰だか思い出した。
”黄金時代”、”翼を持つ”、”欲望のために使うな”。
その言葉がソウヤを結論へ導いていた。
「もしかして、貴女は…。アストレイア……?」
「…!?」
ソウヤが思わずそう言った言葉に、女性は驚愕の表情を見せる。
そして、諦めたような笑みを見せた。
「どうして…分かったの?」
「翼があって、黄金時代を知っていて、そしてなにより正義を大事にする。そんな性格がそうかな…と」
「でも、神なんて信じてなかったんでしょう?」
「十分信じられてしまうような出来事が連続で起きてますから」
異世界に連れて来られたり、魔法が使えたり、翼をもつ人が現れたり。
まず異世界に連れてこられるほどの力を持っている人なんて、ファンタジーの小説の中でもそうそう居ない。
それ以外の要素で考えるのなら神がやったとなら信じやすいかなとソウヤは思ったのだ。
「でも、絵で見た私とずいぶん違うでしょう?」
「えぇ…。片方しか翼ありませんし…」
ソウヤは女性…否、アストレイアの持つ血の色をした剣を見つめる。
いや、”血を纏った剣”…というのが妥当だろうか。
「正義の女神で、最後の最後まで争いを嫌ってきた貴女が剣を持っているなんで思えませんでした」
超目上である神にはしっかりと敬語をソウヤはちゃっかり使う。
アストレイアの人間を愛するその正確を尊敬しているのも7割ほど入っているのだろうが。
しかし、そのアストレイアが持っているのは戦いを嫌う彼女に似合わない、殺すための武器。
そしてそれは血に染まっていた。
アストレイアは自分の翼のない背中を押さえる。
「ずっと、迷ってたのよ。青銅の
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