第3章
1節―最果ての宮―
ダンジョン
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またもや嫌な予感がした。
しかし、その警告の強さが今までの比ではない。
―ヤバイ…。
ソウヤは身体のすべてが冷たくなっていくのを感じる。
未だに侵入者を殺そうと向かってくるすさまじい量の氷の刃を守っている『絶対盾』をその場に突き刺すと、周りを確認する。
通路はいつの間にかソウヤ2人分の通路だったのが、今では『絶対盾』でギリギリの通路と化していた。
後ろを振り向いた瞬間、死ぬ…そんな予感がソウヤにはしている。
「ッチ…」
ソウヤは舌打ちをすると片手に雪無を、もう片手に薙沙を取り出す。
そして『絶対盾』を回収する。
いつの間にか、氷の刃は来なくなっていた。
―来る…!!
ソウヤはしばらく立っていると、不意に跳ね上がるように顔を上げると両手の剣に炎と雷をそれぞれ纏わせる。
そして、足に『雷瞬速』を纏わせると、一気に吹き飛んだ。
迫る、何かの音。
それはありえぬほど早くなっているソウヤの耳にも聞こえてくるほどの轟音。
その轟音の正体は…氷の砲弾だった。
迫ってくる氷の砲弾にソウヤは即反応すると、雷をまとう薙沙で砲弾を受け止める。
凄まじいほどの衝撃、全てが吹き飛びそうなほど吹き荒れる風。
そんな中でもこの通路は全くの傷を負わず、なんのダメージも受けていなさそうだった。
―なんだ…これっ!
思わずそう思ってしまうほどの衝撃。
幾多の死線をくぐり抜けてきたソウヤでも吹き飛んでしまいそうなほどそれは威力が合った。
だが、それでもソウヤは動かない。
動いた瞬間、自身はとてつもないダメージを負うことはとっくにわかりきっていたのだから。
右手に持つ炎を纏う雪無を、ソウヤは逆手に持ちその刹那を上から氷の砲弾に向けて振り下ろす。
まるでドリルで鉄に穴を開けているような音が鳴り響く。
硬い…今までのどんな魔法の攻撃よりも威力が高く、質がよく、硬かった。
「っらああああああああ!」
ソウヤは目一杯の気合を入れて雪無で氷の砲弾を打ち砕かんとする。
そして数瞬もの時間を掛け…なんとか氷の砲弾は朽ち果てた。
キラキラと仄かにある光源を反射しながら、氷は消えていく。
時間で言えば3秒ほどの出来事だったが、反対に言えば3秒もかかってしまったことになる。
―どれだけの相手がこの先いる…?
ソウヤはこれから会う相手に冷や汗を流しながらも、薙沙を収納すると通路を歩き出す。
通路が終わり、広い部屋の中で――
「た…すけて」
――少女が、縋るようにソウヤに言った。
…全身を鎖で縛られ檻で閉じこまれたまま。
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