第3章
1節―最果ての宮―
望むもの
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き――
「…『属性向無』」
――その数十もの光の槍を全て手に持つ物で吸収した。
「なっ…!」
さすがに女性もそれに驚いた顔を隠せないでいた。
「やってくれると思ったぞ、雪無」
その光の槍を吸収しきった雪無は、ブルブルとソウヤの言葉に嬉しそうに震えた気がした。
そして…溢れるほどの光を発している雪無をソウヤは構えて一瞬で女性に向かって振るう。
「1…!!」
女性はその輝くほどの光に満ちた長剣に真っ二つに切られ――
「さすが、ね。思わず本気を出しちゃったわ」
――ことはなく、ソウヤはドサリと倒れた。
―な…っ!?
いきなりのことにソウヤは戸惑う。
そして、カウントが0になった瞬間ソウヤの姿が元に戻り…その副作用でソウヤは意識を暗転させた。
少しだけ微笑んだ女性の顔を見ながら。
「…ふぅ」
女性は意識を失ったソウヤの顔を見ながら、緊張の後のため息をつく。
―何万年ぶりかしらね、私がここまで本気を出したのは。
女性はソウヤの将来性に期待しながら、そう思っていると後ろに人影が合った。
それを知った瞬間女性はすぐさまその後ろの人物に跪き、忠誠の証を行う。
その主は女性を一瞥した後、ソウヤに視線を向ける。
「どうでしたか、ウリエル。かの青年は」
「はっ。とても将来性があるかと。一瞬とはいえ私に本気を出させるほどでありました」
「本気を出すことは禁じたはずですが…。ですが、そこまででしたか」
声の主は、その手をソウヤの頬に手を差し伸べるとゆっくりと撫でる。
そして何かつぶやくと一瞬でソウヤの『亡霊開放』の副作用を消し去って立ち上がり女性…ウリエルの方を向く。
「ウリエル、彼が目覚めるまでここに結界を」
「はっ」
すると、一瞬でこの空間に結界を貼ったウリエルはソウヤを見つめた。
「…彼は、本当にあの者を倒せるのでしょうか」
「でも、この悲劇の輪廻を回避するにはこれしか方法が無いのです」
「……辛い、思いをさせます。彼も、そして主様も」
「このままあの者が”あの位”に立ち続けることは世界の破壊と同じ」
「存じております」
「なら、少しの可能性を信じましょう。そのために少しでも成長させるのです」
それだけ言うとその主は一瞬でその場から消えた。
ウリエルは最後にソウヤを一瞥した後、何かをつぶやいて消えていった。
「――強く…なってね。”神をも殺す力”を持つまで」
最初にソウヤが感じたのは、固く冷たい石床の感覚だった。
「俺は…」
ソウヤは、ジンジンと痛む頭を抑えながら立ち上がり…違和感を感じた。
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