第3章
1節―最果ての宮―
薙沙
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
配が無くなっても人がここにいることはわかってしまうのではないか。
そんな現実味のある仮定をつけたところで、ソウヤは目の前に目を疑うものが見えてきた。
それは――
「む、村?」
――人工物であろう建物と、その中でせっせと働いている人たちである。
同時に、ソウヤの頭のなかは一気に混乱に陥った。
―は…?なんで人が…?え…?
人が入った瞬間、その強大な魔物の大群により第1層でさえクリアできなかった伝説の迷宮。
そんな迷宮の中で、しかも100層のうちの55層…つまり最低でも中級魔族並みの敵が現れる場所で、人が住んでいるなどありえないのである。
しかし、そんなありえない情景がソウヤの目の前にあらわれていた。
―まさか…幻術?それとも人の形になった魔物?
ソウヤは酷く疑心暗鬼になるが、それもしかたのないことなのだろう。
しかし、ソウヤとてこの獣道を外れ巨剣すら扱えないこの狭い空間の中で数十もの、桁外れな強さを持つ魔物と戦おうなど、考えたくないのである。
戻ろうとすれば戻れるが、そうすればもとの地上に戻れなくなってしまう。
結局、村に足を運ぶことしかソウヤは出来ないのであった。
疑心暗鬼な中、しかしそれを表情に出さず雪無を片手に持ちソウヤは飄々とした構えで村に入る。
すると、門の横にずっと立っていた子供が一言――
「ようこそ、第55層の村。『アルキア』へ」
――そう、笑顔なまま固まり”棒読み”で言った。
その光景に酷くソウヤは恐怖感にあおられる。
―なんだ、なんだこれ…。子供が、笑顔なまま突っ立ってるだけで…呼吸さえしてないように見える。
人というのは肺で呼吸をするが、そのときに腹筋を使うので呼吸をすると腹が出たり入ったりするのだが、この子供は笑顔のままその呼吸の動作さえしていないのだ。
そのことがソウヤにとってもっとも恐怖感を煽るものだった。
横にいる少女が無邪気に笑う――呼吸という動作さえせずに。
「村長の家は村の一番奥にあるよっ!」
また棒読みのままそう少女が言って…固まった。
―…村長の村、か。
村に来たら村長の家に必ず行く…まるでRPGみたいだ。
ソウヤはそう思うと…その思わず思ったことが当たりのように感じた。
そうすると、全てのこの子供の原理もうまく説明が行くのである。
―魔法による仮想の人体の創造。そしてそれを動かすためにその人体の中に、いわゆる『プログラム』を乗っけたわけ…か。
通常の魔法の中にはそんな桁外れた能力の持つ種類など無いが、しかしそれも固有の類だとしたら説明が行く。
ただでさえソウヤの持つ巨剣使いは未だに達人級から抜け出していないの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ