第3章
1節―最果ての宮―
薙沙
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「次の層が…55層だな」
敵の死体だらけと化した少し大きめの部屋の中で、ソウヤの唾を飲み込む音だけが響く。
そう、ここまでの層をソウヤはこなし…そしてボスが居ると予想した55層への道へとたどり着いたのである。
「…おし」
ソウヤは小さく気合を入れると、設置された魔法陣―次層への道は魔法陣での転移である―に乗っかって、起動させた。
青白い光にソウヤは包まれ…次の瞬間には眩しい光をソウヤは浴びる。
―光…?太陽でもあるのか?
ソウヤはそう思い、少しずつ目を開けていく。
そして目を開けた先に広がったのは…辺り一面に広がる木々だった。
虫の音、暖かな日の光、木々が風に揺れる音…その様々な要素がまるで…本当の地上のようで――
「――え?」
ソウヤは呆然として、そして自らの目を疑った。
―ここは…地上?いや……違う。
ソウヤはここは地上なのかと目を疑ったが、一瞬にしてこれは地上ではないと理解した。
身体に走る違和感と言うべきなのだろうか…そんなものがソウヤをここは地上ではないと理解させたのである。
「緻密に再現された…空間?」
そうつぶやいた瞬間、ソウヤの中で深く納得できたような感覚が走る。
―…?獣道が続いてる…?
不意にソウヤが足元を見ると、そこには何度か生き物が通ったような跡が存在していた。
注意深く見てみれば人の足跡がうっすらと確認できる。
それを知ったソウヤは不可解だと思う。
―魔物が歩いて出来た獣道ならまだしも、うっすらと見えるのは人の足…。この迷宮は未だにここまでこれたものは居ないのだから、人は居ないはず。
しかし、どうみてもそれは魔物のあの三本足でも四本足でも違う、人間の履く革靴やサンダルの足あとなのだ。
結局、ソウヤは考えるだけ無駄だと思い至り唯一の道標である獣道に向かって歩き始める。
しかし歩いて10分、普通ならもうとっくに一度は魔物に襲われていいはずの時間帯だが、”近く”には魔物が一匹もいなかった。
そう、ソウヤの使う危険察知のスキルがここから数十m離れたところにわんさか魔物が居ることを告げているのだ。
ソウヤ自身も鍛えに鍛えられた第6感とも呼べるものが、魔物がこちらをじっと見ていることに気がついていた。
―まさか、この獣道は全てセーフティエリアなのか?
ソウヤはこの不可解な現象を自分がセーフティエリアにいるからだと、そう仮定させた。
セーフティエリアは基本、中に入れば魔物は入ってくることは出来ずしかもその入ったものの気配も完全に絶たれるので普通なら魔物は遠ざかっていく。
しかし、この獣道がセーフティエリアなら木と木の間からは普通に見えてしまう。
だから魔物は気
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ