暁 〜小説投稿サイト〜
グランドソード〜巨剣使いの青年〜
第3章
1節―最果ての宮―
決意
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


 剣型はそう小さく呻き、目に闇を灯した。
 ドサリと地面に倒れる剣型と、その血肉を吸い続ける雪無を尻目にソウヤはアイテムストレージから直刀を1本取り出し、槍型に突っ込む。
 槍型は怖気づかず、反対にソウヤを強く見定め――

「『ウィンド・ドーガ』!」

 ――凄まじい速度の…渾身の一撃をソウヤに叩きこむべく突きを放った。

「ッ!!」

 そのあまりの凄まじさを持つ突きに、ソウヤは思わず瞬時に直刀を巨刀化させ槍型に突きを放つ。
 あまりのその打撃力に一瞬にして槍型はミンチになった

「あ……」

 ソウヤは思わずそうつぶやいた。
 命の危険を察知した結果、思わず禁止していたはずの巨刀化を使ってしまったのだ。

「両方死ぬのを覚悟ではなった技…か」

 あのあまりの凄まじさを感じたソウヤは、小さくそうつぶやく。
 そしてミンチとなった槍型を見て、ソウヤはため息をついた。

「無駄になったな…」

 ソウヤは倒したオークから役に立ちそうな物を全て拝借すると、先に進み始める。

「時間は…約1分しか経っていないのか……」

 「疲労と割にあわないな…」とソウヤはうんざりしたようにつぶやいた。
 あれだけの緊張感、危機感、恐怖感を感じていたのに対して戦闘時間は約1分。
 しかもそのうちの20秒は雪無の血肉を吸う時間に使ってしまっているので、結果的には40秒ほどである。

「あと…48層もこれを繰り返さなきゃならないのか」

 ソウヤはもう一度、ため息を付いた。

 ―でも、挫折するわけには…いかない。

 ソウヤは雪無を握る力を思わず強めた。

 ―ルリの手紙に書いてあった「何かを手に入れることができる」という、その何かはわからない。だが、ルリが言うからには俺が必要としているものなのだろう。

 目の前にまたオークたちが現れる。
 それは剣型と魔術型の2体のようで、こちらを見つけるとそれぞれの得物を構えた。

 ―俺はここをクリアする。そして、少しでも力を手に入れて…そしてラスボスを倒し元の世界に戻るんだ…。そして――やり直すんだ。

 ソウヤは意思を固めると、そのオークたちに向けて雪無を構え突っ込んでいった。



 未だ、歯車は回り始めたばかり、そう――まだ”始まり”の途中なのである。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ