第3章
1節―最果ての宮―
決意
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ァアアア!!」
仲間を殺されたことに怒りを覚えたのか、ソウヤに槍型は鋭い突きを放った。
それをソウヤはすぐさま直刀を呼び出すと滑らせて軌道をそらす。
しかし、その横から剣型が姿を現して下段斬りをお見舞いしようと振り上げた。
―僧侶がいなくなっても厳しい物は厳しいなっ…!
ソウヤは右手に持つ直刀と同じものを左手に呼び出すと、それで防御する。
あまりの一撃の重さに多少ソウヤは地面に下がるがすぐに立てなおした。
ソウヤの持つその直刀は、51層での敵が落とした武器である。
その黄色に染まったその刀身の部分には、なんと”刃”がなかった。
その武器は斬るという行為ができなく、反対に殴るという攻撃方法が出来る代物である。
下級魔剣クラスのこの直刀は、―能力は『刃がない』である―現在のソウヤの戦い方に適しているのだ。
雪無の能力、血肉を食らうのには少々時間が掛かるがそれまで素手で時間を稼ぐなど、この迷宮では最悪の手段としか言い様がないのである。
だが、他の武器を使うにしても斬ったら血が出てその分雪無が食らう分が少なくなってしまうのだ。
「っく…!」
しかし、相手は2匹でこちらは自分一人と下級魔剣2本だけ。
それにプラスして血を極力出さないことが条件なのだから、どちらが不利なのかは火を見るより明らかである。
血肉を吸う時間は約20秒ほどで、しかし今のソウヤたちのレベルではその20秒は5分戦い続けるのと同じことなのだ。
―吸い終わったかっ!?
ソウヤは雪無が刺さっている僧侶型が骨と皮膚以外無くなった干物と化しているのを確認し、やっとこさ雪無を取り戻した。
そして直刀を2本ともアイテムストレージに収納すると、一気にソウヤは槍型に突っ込んだ。
それに対して槍型はソウヤに向かい、横薙ぎを行う。
軌道を逸らすことの出来ない横薙ぎを眼にソウヤは思わず小さくジャンプをして躱した。
槍型の口がニヤリと嗤う。
「『炎の大剣|《ファイ・ラーガ》』」
槍型の頭上から剣型が姿を現し、身の丈ほどある炎の大剣をソウヤにぶつけようと振り下ろす。
技で2つ目に高い大剣の形をしたその炎は、ソウヤを溶かそうと迫り来る。
だが、それにたいしてソウヤはニヤリと嘲笑う。
「『中段・水の剣|《セイ・アークソーガ》』」
下から2番目に入る、普通なら大剣に押されるはずの剣を象った水が雪無を覆う。
そしてぶつかり合った炎をまとった大剣と、そして水を纏った剣。
その鍔迫り合いは一瞬にして終わった。
高い音が響き、剣型の持つ剣が弾き飛ばされる。
ソウヤは無防備になったその剣型を見逃さず、一気に雪無を突き入れた。
「ガ、アァァ……」
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