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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十六話 新人事の波紋
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……“
「この通り、ヤン准将は薄情な人ですからね。いつか思い出してくれるだろうとは思わないことです。はっきり伝えた方が良いですよ」
気遣ってくれている? 誠実で優しい人?
「御存じだったのですか、ヴァレンシュタイン准将?」
私はその事を周囲に話したことは無い。父から聞いたのだろうか? 准将と父はイゼルローン要塞攻略戦では苦労を共にした仲だ。もしかすると私の事が話題になったのかもしれない……。
「私もワイドボーン准将もヤン准将を馬鹿にしているつもりは有りません。人には向き不向きが有りますからね。ヤン准将には用兵家としての才能は有りますが事務処理の才能は有りません、戦争になったらヤン准将に働いてもらいます」
そういうとヴァレンシュタイン准将は書類に視線を戻した。ヤン准将が困ったような顔で私を見ている。凄く居づらいというか気まずい。やっぱりヴァレンシュタイン准将は意地悪でサディストで根性悪だ……。
「エル・ファシルでヤン准将に助けていただきました。有難うございました」
「ああ、そう」
ヤン准将は困惑している。私も困った、会話が続かない。そしてヴァレンシュタイン准将は微かに肩を震わせている。笑ってる? 笑ってる!
宇宙暦 795年 1月12日 ハイネセン 宇宙艦隊総司令部 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
いやあ、青春だな。なんとも不器用で初々しくて、甘くて切ない……。トリューニヒトだのシトレだの相手にしていると世も末だけど不器用な二人を見ているとおじさんは嬉しくなってしまうよ。
もう少しからかいたかったが総司令部にバグダッシュが入ってきた。急ぎ足でこちらに近づいて来る。
「帝国の宇宙艦隊司令長官が決まりました、クラーゼン元帥です」
その声に皆が手を停めた。
「クラーゼン……、幕僚総監か、彼が宇宙艦隊司令長官に。……バグダッシュ大佐、メルカッツ提督は?」
「副司令長官ですよ、ワイドボーン准将」
ワイドボーンとバグダッシュが話している。クラーゼン幕僚総監か……。 実権は無い、飾り物の元帥が宇宙艦隊司令長官になった。そして副司令長官にメルカッツ、こいつをどう判断するか……。
ワイドボーンが俺を見ている、ワイドボーンだけじゃない、皆が俺を見ている。
「どう思う?」
「初々しくて心が洗われる思いですよ」
俺の言葉にフレデリカが唇を強く結んだ。いかんな、シャレが通じないのは。ワイドボーンが呆れたような声を出した。
「そうじゃない、帝国の人事だ」
分かってるよ、そんな事は。ここにもシャレの通じない奴が居た。優等生とか秀才っていうのはこれだから困る。
「酷い人事だと思いますよ」
クラーゼンが飾り物の元帥だという事は同盟でも分かっている。幕僚総監などと言っても
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