第2章
3節―始まり―
霊薬
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いる者達に言葉を述べる。
「家臣も、下がってくれ」
「しかし陛下っ!」
「これは私用だ。それにソウヤ殿が本気になられたらお前たちが束になっても叶うまい」
その王の言葉はあまりに正論だった。
家臣たちは苦渋の顔をすると、「用のあるときは申し付け下さい」と言って渋々部屋から出て行く。
その姿を見ながら、ソウヤは思った。
あぁ、この国はなんていい国なんだろうな…と。
ソウヤも様々な国に訪れ、城にも出入りしたことも良くあったがここまで家臣が王を慕う国は初めて見たのだ。
それに、その慕う心もソウヤは嘘でないように思えた。
全員が立ち去るのを確認し、王は立ち上がる。
そして、一気に王の威厳が消え失せた…否、それを覆い隠すほどの暖かなオーラが王を包んだ。
「済まないね、ソウヤ殿。楽にしていいよ」
今までとは圧倒的に違う優しさの込められた、まるで世紀のイケメンが発した声がソウヤに届く。
ソウヤはこっちが本当の王なんだろうな…そう思わずに入られなかった。
「しかし陛下。私はただの冒険者です」
「さっきも言ったろう?これは私用だ。それに王の楽にしてくれという命令も聞けないのかい?」
そう言って王はクスリと笑った。
―…負けた。
ソウヤは久しぶりの敗北感を味わうと、気が抜けたように肩の力を抜く。
そしてゆっくりと立ち上がると王と同じ目線になった。
「わかった。命令なら…仕方がないな」
「そうそう」
自分の娘が危機だというのに、ここまで気丈に振る舞えるのもやはり王の器ならではなのだろう。
その器の大きさにソウヤは感服するしかなかった。
それと同時に、急がねばという気持ちも大きくなってくる。
「王「ミラジュだよ」…ミラジュ様。では早速第三王女の元へ」
「……そうだね」
ミラジュはそう言うと、王座の横にある扉を開け「こっちだよ」と言って扉に入る。
ソウヤもそれに続いた。
しばらく歩くと、1つの小部屋を見つける。
多分、ここが第三王女の部屋なのだろうとソウヤは当たりをつけた。
「ソウヤ殿。済まないね、こんな人の命に関わることを頼んでしまって…こんなこと、慣れてないだろうに」
「それこそ大丈夫だ、ミラジュ様。俺は何万人の命を何回も背に抱えてきたからな」
「――そう…だったね」
ミラジュはそう言うとつらそうに笑った。
ソウヤはそれに笑みを返すと、第三王女の部屋であろう部屋にはいる。
そこには…死んだように動かない、1人のそれは美しい女性が眠っていた。
髪の色は艶やかな黄緑色をしており、1つ結びにされている。
そんな美しい女性も、今は冷たく氷のようになっており肌もひと目で分かるくらい青くなっ
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