第2章
3節―始まり―
兵士の願い
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相手に向かい、瞬時に動くと相手に反応する隙も与えずその首に黒鏡破を宛がった。
「さぁ吐け。お前らは誰の命令で動いている?」
ソウヤは冷徹な声をワザとだし、黒鏡破を首に当てることで”脅迫”する。
槍持ちはすぐさま得物を屋根の上に落とし、両手を頭に当てることで投降したことを伝えた。
しかし、槍持ちが出した声は状況とあっていない、そんな声だったのだ。
「お見事です。さすがは妖精最強と言われるソウヤ様です」
その変装した状態のソウヤのことを見破ったことに、ソウヤは少し驚いた。
槍持ちがその場で立ち上がるのを見て、ソウヤは黒鏡破を自分のもとへと戻す。
ずっと殺気を送っているソウヤに、槍持ちは手を頭のところまで上げて「敵意はありません、あっても瞬時に倒されますから」という言葉が送られた。
ソウヤはため息をついて殺気を解くと、槍持ちに睨んで問う。
「なぜ俺だと知った?」
「魔族襲来や魔物襲来の直前、必ず居たのに始まった時には必ずその姿を隠している…。そんな人物があなたしかいなかったんですよ」
どうやら槍持ち、またはほかの仲間か主の誰か1人、頭の切れる奴がいるらしい。
そうソウヤは思った。
「ではいきなり襲ってきた理由は何だ?下にいる住民にも迷惑をかけたのだから、それ相応なんだろうな」
「はい、それ相応の理由です」
ソウヤの問いに即答する槍持ち。
その顔はいつになく真剣みを帯びていて、嘘を言っているようには見えなかった。
黙るソウヤに、話していいと思ったのだろう、槍持ちはポツリポツリと話し始める。
「…我らの主はエルフの第三王女なのですが、先週急速に身体が冷え始め医者に診察をお願いしたところ…」
そして、苦々しい顔でその病名を告げた。
「リクール病…だったのです」
その”リクール病”という単語を聞いた瞬間、ソウヤ以外の周りの人々が息をのんでいるのがわかる。
ソウヤもそのリクール病という病気に関しては知っていた。
リクール病…それはこの世界の言葉で言うところの冷え性を悪化させた病である。
原因はまだ特定されておらず、治す方法は特別濃密な魔力が漂う場所にだけ生えるという万能樹から採取できる、霊葉だけなのだ。
その症状は酷いもので、病にかかると急速に身体が冷え始め30℃ぐらいまで体温が下がりきると、そこからゆっくりと身体が冷えていき…2週間もすれば死に至る。
その万能樹は特別濃密な魔力のある場所にだけ生えているのだが、濃密な魔力=強大な魔物が大量に住んでおり、例えば瞬死の森などだ。
「そうか、万能樹を手に入れるために俺を探していたって訳か」
「はい、そうです」
ソウヤはしばらく黙り込むと、ため息をついて人差し指
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