第2章
2節―運命が許さない旅―
右翼の戦い
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体で避けた。
「まだ!」
さらに大剣を2つ出現させると真横から同時に上級魔族へ向かわせた。
しかし、それも必要最小限の動きで避けてしまう…が。
「ラストッ!!」
突如、上級魔族の胸から大剣が現れた。
感触しかないその幻の剣は、しかし内臓にまで触れることで擬似的な”痛み”を生み出していたのだ。
「が…――――――!!」
そのあまりの痛みに上級魔族はもがく。
そして、一気に狼のような雄たけびを上げるとエレンを地面へ投げ飛ばした。
エレンは空中で一回転すると軽やかに地面に着地して変化が起こっている上級魔族を睨む。
毛のすべてが灰色から血のように赤く染まっており、手と足の爪も大きく成長してまるで金属のような光沢を放っていた。
その上級魔族がエレンは睨んだ。
不意に、エレンがレーヌに言葉を告げる。
「レーヌ、時間を稼げるか」
「…あいつを倒す手立て?」
「そうだ、頼む」
その言葉にレーヌは不敵な笑みでうなずくと、自分の周りにマグマと剣、そして大剣をいくつも出現させて上級魔族へ向かわせる。
レーヌが時間を稼いでくれている間に、エレンは天使剣を地面に突き刺すと目を閉じ身体の緊張を解いていく。
バチバチッ!!という雷の音がエレンの鼓膜をゆさぶった。
そして、途切れ途切れだった雷の音も徐々にその数を増やしていき…最終的には雷の音しか聞こえなくなる。
エレンが何をしているのかと言うと、雷を作り溜め込む…を何回も繰り返していたのだ。
いわゆる、『光電の力』を何回も繰り返している…と同じことだ。
「すぅ…はぁ…」
エレンは深く深呼吸すると、目をそっと開き右足で地面を強く叩いた。
すさまじい音が響いて周りに飛び交っていた雷が、それだけで周りに流れていく。
「レーヌ!」
エレンは短くレーヌの名前を言うと天使剣を地面から取り出した。
すると、天使剣はその身を眩しいほどに光らせそれと同時におびただしい量の雷が天使剣に流れ込む。
「いっけぇっ!!」
レーヌも、ラストの巨大な剣を上級魔族へ投げ込むと全力で後ろに下がった。
しかし地面にうまく着地する事が出来ず地面を滑る。
ただ、最後の力を振り絞って手を上げたレーヌは、一言だけエレンに言った。
「…任せたわよ」
「任せておけ」
パンッ!と乾いた音が合わさった手から響く。
エレンは天使剣を両手で持つと、前かがみになって突撃しそうな上級魔族を睨む。
そして『光縮地』を発動させると上級魔族へ今までと断然に違う速度でエレンは向かった。
上級魔族はその手に全力を振り絞ると、エレンに向かって最高の力の拳を振り下げる。
それに真正面からエ
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