第2章
2節―運命が許さない旅―
左翼の戦い
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…『気銃刃』。
大剣が裂けた部分からギリギリまで圧縮した気を発射し、相手を貫いた後に一気に溜め込んでいた気を全て開放する技だ。
その気を放つところがまるで銃、そして解放した後の状態がまるで気の刃…だから『気銃刃』だ――と製作者は言っていたらしい。
本来、やってはならぬ気を全て使い果たす技なので約2週間気が全く使えなくなるというリスクが存在する。
だがそれを入れても、その威力はソウヤに匹敵するか、それを凌駕する可能性もあるほどだ。
「ガ…ガアアアアアァァァァァァァ!!!!」
上級魔族の中でも上位に入る強固な鱗と言う名の鎧を纏っていた上級魔族は…その日、たった2人の妖精によって朽ち果てた。
しかし、その倒したルリとナミルの損害も小さいものではなく、ボロボロの状態だ。
2人の中で死人が出なかったことが奇跡に近かった。
「はぁ…はぁ…ナミルさん…お疲れ様で!?」
ルリは膨大な魔法を使い果たしてしまった疲れを持ちながら、上級魔族を倒したナミルを労わろうとナミルの方を向く。
が、ナミルは荒く息をしているだけで微動だにしない。
魔力は使いすぎると全回復するまで気を失うが、気もそれと同様…否、気術は本来生命力を酷使して使う術なので、魔力よりひどい。
魔力は1さえ残しておけば気を失う事はないが、気力の場合は残り半分を切ったところで昏倒する。
最低でも生命に害がないところのラインが半分なのだ。
しかし、『気銃刃』は死ぬ寸前まで気力を喰う。
気力は普通、昏倒しても1日倒れるだけだが死ぬ寸前まで使うとなると、1ヶ月は目覚めない。
それを2週間で目を覚めることが出来るのは、一重にナミルが二つ名を手に入れられるほどの強さを持っているからだろう。
「と、にかく。私も…ナミルさんも…休まないと、ですね。その前……に」
ルリはそれだけ言うと、ナミルを1つチラリとみると…周りを囲んでいる100は居る魔物に視線を向けた。
そして『音速白銀』を取り出すと二刀流を行い、魔物を睨む。
「こいつら…を、倒さないと…。で…す、ね」
しかし、魔力をほんの少ししか残していないルリに100もの魔物を倒せるわけもなかった。
それを分かっていながらもふらふらとした足つきで、魔物に立ち向かおうとするルリ。
そこまで来たところで、魔物が一刀両断された。
「あ…」
一刀両断された魔物の影から現れたのは、使い古された鋼鉄の半鎧を身に着けて同じく使いこなされた剣を持つ男だった。
男は、ルリとナミルを見つけると安堵したように溜息をつき、後ろにサインを行う。
そして次の瞬間、聞こえたのは野太い声だった。
「ここに居たぞおお!」
「「「「「「おおおおおおお
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