第2章
2節―運命が許さない旅―
1週間の休息
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ルリがそう心配そうな目でソウヤにそう聞いた。
ソウヤはそれにわずかに笑うと、「大丈夫だ、心配ない」とそう一言だけその問いに答える。
「出発は1週間後だ。だいぶ遅れることになるが問題ないだろう」
「分かったわ、ソウヤはしっかりと休んでおきなさい、一番重症だったのだから」
「分かっている」
その日はこれで解散となり、しばらくの休暇を得ることになった。
そう、そんなことなぞ…出来るわけがないというのに。
「ソウヤ、…4日後にはもう旅立つのだろう?」
「そうだが、どうした急に。ナミル」
身体をほぐすため、筋トレをしていたソウヤは突如話しかけてきたナミルにそう問いかける。
ナミルはソウヤをじっと見つめるとその問いに答えると同時にソウヤに問うた。
「…ソウヤ、俺と今から戦ってくれないか?」
「……なぜそんなことをしたいと思った」
「興味だよ、あの銀色の狼を倒して見せた…お前のな」
ソウヤはしばらくナミルを見続けると、溜息を吐いて細目になったその目で「分かった」とだけ言い、了承した。
ナミルはその答えに「すまない」とだけ言うと、ついてくるように言い村はずれの広場で立ち止まる。
ソウヤもナミルに合わせて立ち止まると、静かにナミルを見つめ続けた。
すると、ナミルは振り返りソウヤを見て背中に担いでいる大剣を抜き目の前で構えた。
「ソウヤの本気を見られないのが残念だが……さぁ、始めよう」
「…分かった」
ソウヤはそれだけ言うと黒鏡破とサイレンを取り出し、前のめりになる独特の構えをした。
対してナミルの大剣は未だに鞘の中に入っており、その状態で構えている。
―あの大剣、”なにか”あるな…
―あの曲がった形をした独特な片刃剣…鋭いな。
ソウヤとナミルはそれぞれ相手の武器の特徴を調べようとして、何の動きもない。
もう両者が得物を抜き放ち構えた瞬間からもう勝負が始まっている…決闘とはそういうものだ。
しかし、何も動かない…否、動いて先に仕掛けたらカウンターを仕掛けられる可能性があるので隙を見計らっているというべきだろう。
風による木々のざわめきと動物の鳴き声しか、両者のまわりには存在しなかった。
それが…強者同士の決闘というものなのだ。
―隙をみせる…か。
ソウヤはそう思い、わざと微妙な隙をわざと見せる。
しかし、ナミルはその大剣を構えたまま動こうとはしなく…反対に攻めようという意思も感じられないと気付いたソウヤはそのままで止まった。
そして…1分、2分が経過したところで……ついにソウヤが動く。
その速さは巨剣使いの状態に比べたらのろまも同然だが、それでも一般の冒険者にしてはあまりにも早すぎる速度だった。
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