第2章
2節―運命が許さない旅―
1週間の休息
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されたくなかったらここから離れなさい。私は今苛ついているの」
「私はそこに居る男性を助けに来たんです。どうか見逃していただけませんか?」
「無理ね、私のペットがこいつに殺されたんだ…。こんなひょろひょろな男にねッ!」
ジュキルはそう強く言い放つと、ルリをはねのける。
それに思わずルリは身体が揺れてしまうが、迫りくる装着爪を目にしてそのままわざと後ろ向きに倒れた。
ルリの目の前を装着爪が通りすぎる。
そのまま後ろに倒れてしまうルリは、手を地面に付いてバックジャンプを行うことで転倒を回避した。
「避けるのだけは上手なようね」
「…そうですね、速さだけは自信ありますから。でも、ジュキル――」
ルリはそういうと、大きく息を吸い…そして吐き出した。
そして、ゆっくりとジュキルのもとへ近づくと口を開ける。
「ソウヤさん、時間は稼ぎましたよ」
「良くやった…ルリ」
その瞬間、ジュキルの腹から1つの炎を纏った刀が顔を出していた…ソウヤの黒鏡破である。
何が起こったのか分からなかったジュキルは、口から血を吐きながら急いで刀を抜くために目の前に移動した。
それと同時に背中の漆黒の翼をはためかせると空中に飛び出し、ソウヤ達を見る。
「…ソウヤとルリ、貴方たちは覚えておくわ。それじゃあね」
それだけ言うとジュキルは去っていった。
あの時、ルリとジュキルが戦っていたときにはもうソウヤの意識は戻っていたのだ。
しかし立ち上がるにはまだ時間がかかりそうだったので、その間をルリが少しの間だけ時間を稼いでいたのである。
そして、”わざと”ルリはジュキルに跳ね除けられるところを調節して、ちょうどジュキルの背中がソウヤに見えるようにした。
その間にソウヤは少し回復したMPを使い、炎を纏わせると無防備なその背中を刺したのだ。
「なんとか…追い返せた…な……」
それだけ言うと、さすがにMPをこの短時間に使いすぎたのか身体をふらつかせながらソウヤは意識を失った。
釣り糸のなくなった人形のように倒れかけるソウヤを、ルリは急いで抱きしめて受け止める。
「お疲れ様でした……」
そして、多くの枷を背負っていたというのにここまで努力したソウヤに…ルリは労わる言葉をかけ、静かにソウヤをその胸に抱きしめた。
…叶う事もないであろう、胸を締め付けられるような気持ちをその心に秘めながら…。
それからルリは暫く抱きしめたままに居ると、そのままソウヤを担ぐと村へ帰り危険がなくなったのを村人に言うとすぐさまソウヤをベッドに寝かした。
そして、ソウヤが目を覚ますのはそれから結局夜が明けたころである。
その中でソウヤは身体が動きにくなっているのを感じ、ベッドに横になった
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