第2章
2節―運命が許さない旅―
銀色の狼
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せることなくソウヤの言葉にうなずく。
その肯定に俺の言葉を理解してくれて感謝したソウヤは、村へ行こうとしたナミルに言葉をかける。
「後、ルリという女性が居るからそいつだけに森に来るよう伝えてくれ」
「…ルリという奴だけか?」
「そうだ」
しばらくナミルは黙ると、「分かった」と肯定してソウヤの視線からその姿を消した。
ソウヤはしばらくその場にいてナミルであろう気配が遠ざかるのを確認して、再び『肉体強化』を自分自身に施したソウヤは魔物の所に向かい始める。
―相手狙いはソウヤかナミルのどちらかだろう。ただ、分からないが多分俺の方を狙っている。
ソウヤがそう思ったのは魔物のその特徴が関係しているのだ。
魔物がソウヤ達妖精を狙うのには理由が…というゲームのころにそういう設定があり、それが今も受け継がれている。
この世界のあらゆる物質は魔力があり、石にも酸素や二酸化炭素、細かく言えば生物の1つ1つの細胞にも…だ。
魔物は魔力がないと死んでしまう性質があり、それを補給するために何かを喰わなければならない、いわゆる食事である。
その中で最も魔力を持っているのが妖精…ではなく、精霊と呼ばれる魔力の塊のような存在なのだが精霊は大体の魔物が倒せない。
なのでその次に魔力が高く、さらに数が多くある妖精を魔物は喰らおうとするのだ。
魔物はその中でも最も魔力…つまりMPが高いほうを優先して殺そうとする。
―MPはチート能力でドーピング済みの俺の方が武闘家の上位を持っているであろうナミルより数倍多いのは確かだ。なら、やはり…俺を狙うはずだ。
魔物にも本能というのが存在する。
その野生の本能というのだろうか、魔物は自分より数倍強い相手には反対に逃げることに徹するのだ。
通常なら『軍勢の期』か自分から弱くなっていないとソウヤは大抵の魔物から逃げられるのだが、今は少しドーピングした程度。
ソウヤはそこから気配である程度の敵の強さを把握したうえで、自分を狙ってくると予想したのだ。
「…いたッ!」
遠くに小さな白い豆粒のような何かがこちらに急速に接近してくる…というよりソウヤが接近している側なのだが。
ソウヤがその目を凝らすと銀色の巨大な狼が見えてくる。
その狼からの威圧を受けてか、ソウヤは苦虫をつぶしたような顔になった。
―やばい…!あいつ、並の相手じゃない。『瞬死の森』のあのボス猿と同等くらい確実にあるッ!!
ソウヤは背筋に冷たいものが走ったのを感じて、真横にある木を掴んで『肉体強化』を施し全力で横に飛んだ。
その刹那、ソウヤの真後ろの景色が焼き野原に変貌していた。
ソウヤは伏せていた身体を起き上がらせると同時に『肉体強化』付きで全力に走る。
しかし、
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