第2章
2節―運命が許さない旅―
遭遇
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ヤがそう話しても、ナミルの瞳からは疑いの視線しか感じずソウヤはどうしたものかと内心悩み始める。
そしてしばらくの間静寂の時が流れ―――その静寂を壊したのはまるで空気を読んだかのような腹の虫の音だった…誰かは言うまでもあるまい。
「はぁ…。保存食でいいなら持ってきている。それでいいなら食べるか…?」
「…有難く貰う事にしよう。…毒は入っていないようだしな」
冒険者や旅人には必須な『危険察知』をナミルは無意識の内に使って毒がないと感じると、それをもらうことにした。
ナミルがソウヤからもらった保存食は栄養を食べやすいようブロック状に圧縮された、水を含んで食べるものだ。
味は保証できないが、その10pのものを食べるだけで半日分のエネルギーを得られることが出来るという栄養バーの劣化版のようなものである。
少々高いものなので、一瞬ナミルは食べていいのかと悩んだが、もらったものを返すのは申し訳ないので食べることにした。
ソウヤは固い劣化栄養バーを水を含みなんとか食べているナミルを見て、ふとまず安心すると周りの気配を探る。
「…んぐっ。ふぅ…すまなかったな、ソウヤ…だったな?」
「あぁ、ソウヤだ。それと保存食は気にするな、まだたくさんあるからな」
「そうか」
「そうだ。それよりナミル、少しめんどくさい事になりそうだ」
それを聞いたナミルは首をかしげた。
ソウヤはより正確に気配を探るために閉じていた目を、ゆっくりと開けて頭をガリガリと掻く。
「滅茶苦茶強い気配がこっちに急速に向かってる。逃げるぞ」
「お前は”あの”ソウヤなのだろう?気配で大体わかるが…ならなぜ戦わん?勝てるだろう?」
ソウヤはそれに関しては何も言えず、無言で流れ出る滝を見つめたまま無言になり…そしてその問いに答えた。
苦虫をつぶしてしまったかのような苦い顔をして。
「…訳あって今、全力は出せない。全力を出せば分殺は出来るだろうが、今は無理だ。諦めてくれ」
「……分かった、ここから逃げるぞ」
ナミルはしぶしぶと言った表情でそう言うと、その洞窟から外に出ようと足を運ばす。
が、そのナミルの肩をソウヤは掴むと…ひょいっという音がでそうなほど簡単に、ナミルをいわゆるお姫様だっこをした。
「なっ!?」
「全力を出せなくても、お前よりは早い。このままいくぞ」
「…っく。せめて背負え…!」
「……無理だ」
それだけ言うとソウヤはとてつもない速さで走り出した。
何故ソウヤが本来の力を出せないかというと、それはあの時の 『亡霊解放(エレメンタルバースト)』のせいだ。
本来ならスキル使用不可の呪いが付くのだが、今回は1週間メインスキル使用不可でそれから2週間プラスでサブスキル不可というものに変化していた
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